BLOGイベント2021.10.25

北欧フィンランドの暮らしに根ざしたテキスタイルブランド、日本初の展覧会!

フィンレイソンを知っていますか?

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日本でも人気の北欧デザイン。カーテンや家具、寝具のカバーやシーツ、雑貨、洋服などに用いられる草木や花柄モチーフの生地は、「森と湖の国」といわれるフィンランドの自然の豊かさを連想させます。

中にはりんごや象、パンダなどのデザインも。これらのテキスタイルデザインを生み出してきたフィンランド最古のブランド「フィンレイソン」を、みなさんはご存じでしょうか。日本では通販会社やアパレルメーカーとコラボして商品を発売し、人気を博しています。

同社が2020年に創業200周年を迎えたことを記念し、その歴史やデザインの数々を紹介する展覧会が京都で開催中です。

フィンランドの人々の暮らしに寄り添ってきた企業の200年

フィンレイソン社は1820年創業。社名は創立者でスコットランド出身のジェームス・フィンレイソンの名から付けられました。

フィンレイソンの歴史はフィンランド第二の都市、タンペレに小さな紡績工場を設立したことから始まります。タンペレの人口の3分の1の人を雇い、労働者のために学校や病院、図書館や教会などを建設。工場の敷地内に一つの「地域社会」を形成し、タンペレの発展に大きな影響を与えました。また、フィンランドで初めて女性を雇用し、その社会進出にも貢献しました。フィンレイソン社は人々の暮らしを豊かにすることを目標に、雇用や設備を整えていきます。

1章ではそんなフィンレイソン社の歴史を、当時の写真や独自に発行した通貨、企業広告などで紹介しています。

フィンレイソン社がいかに大きな会社であったか、そして社会に貢献していたかを伺い知ることができます。

Img_2338s.jpgポスター広告や婦人雑誌に掲載された広告も明るくポップ。

フィンレイソンデザインの特徴

北欧デザインといえば「マリメッコ」も人気の北欧デザインブランドですが、鮮やかで大柄な花のモチーフで、バッグや洋服などファッションのイメージがありますね。

一方、フィンレイソンは、寝装具やカーテン、テーブルウェアやキッチン用品などを中心に、生活の中のテキスタイルが多いことが特徴です。どんなデザインがあるのでしょうか。

第2章では、フィンレイソン社によって生み出されたデザイン原画や生地の数々を、デザイナーごとに展示しています。

いくつかの代表的なデザインを紹介しましょう。

「オンップ(リンゴ)」
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大柄で鮮やかなリンゴのデザインが可愛らしく、日本でも人気の絵柄です。

リンゴはフィンランドでは人気の身近な木の一つで、日本でいう桜のような存在だそうです。会場には原画と復刻版の生地が展示されています。両者を見比べると、復刻版ではところどころ虫が顔をのぞかせていたり、虫食いがあったりと、遊び心も感じられます。

フィンレイソン社は、復刻版を制作する際には必ず何か手を加え、デザインに新しさを吹き込むことをポリシーとしてきました。その思いが垣間見える一作です。

「エレファンティ(象)」
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当時学生だったデザイナーが、大学の必修科目としてあったフィンレイソン社のコンペに提出したデザインが採用されたもの。

会場では、デザイナー本人から今回特別に借用したコンペ時のスケッチも展示されています。生地と比べると、スケッチの段階では象の背中に鞍が描かれていたことが分かり、制作工程上の変化も見ることもできます。

「アヤトス(思考)」Img_2372s.jpg

「アヤトス」とはフィンランド語で「思考」の意味。描かれるパンダをよく見ると、口元に手を当てて考え込んでいるように見えますね。

この作者、アヌ・サーリは、人間と自然の関わり方や絶滅危惧への懸念を伝えるようなデザインを生み出してきました。考えるパンダのデザインは、現代社会で人々が公害に対して無頓着になってしまったことを嘆き悲しむ様子を表したようです。

このように、経済、社会背景や情勢などを含んだデザインも多く制作されました。外で働く女性が増えたことで家事の短縮を図るために、汚れても毎回洗濯しなくて済むラミネート加工のテーブルクロスや、ベッドメーキング不要の布団カバーが多く製造されたといいます。

「ムーミン」
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フィンランドといえば、ムーミン!

フィンレイソン社は、当時作者のトーベ・ヤンソンから直接使用の許諾を得た唯一の企業でした。現在にいたるまで、ムーミン柄のテキスタイルを作り続けています。

心なしかほっとするような優しい雰囲気のデザインが多く、暮らしになじみやすそうです。

会場ではそれぞれのデザインにまつわるエピソードも知ることができ、デザインの魅力を一層感じることができます。

シンプルかつカラフル。デザインの理由とは

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フィンレイソンのテキスタイルは、「誰にでも使いやすい」ということが一つの基準となっています。人々の生活を豊かにすることをモットーに、195060年代に生活レベルが向上してきたときにも、日常に使いやすく品質かつ購入しやすい価格を維持しました。当時から多くの顧客を抱えていたフィンレイソン社にとっては、お客様の生活レベルを上げることが一つのミッションだったといいます。そのために、働く人たちもまた生活者視点を持つことを大切にしてきました。

1年の半分以上が冬のフィンランドでは、必然的に家の中での生活が長くなります。

日照時間も短いため、気持ちまでも暗くなりがちな暮らしをできるだけ明るく彩り、過ごしたいという思いから用いられたのが、テキスタイルでした。家具はできるだけシンプルに長く使えるものを使用する一方で、テキスタイルは季節に応じたものを取り入れ、四季折々の行事に合わせて色を楽しんでいるそうです。

生地が1枚あるだけで、その場が華やぐ。食材や食器も含めてコーディネートして、食卓を彩る。幼いころから生活の中にあるテキスタイルは、子どもたちにとっても身近な存在です。

自分たちの心地よい暮らしや空間を築き、小さな変化に幸せに感じることのできるフィンランドの人々。幸福度NO.1の国である所以も分かるような気がします。

コロナ禍で「おうち時間」も長くなった今、私たちもフィンランドの暮らしに学ぶことはたくさんあるのではないでしょうか。

Img_2366s.jpg第2会場に入ると目に飛び込む、フィンレイソン柄のクッションのインスタレーション。

見ているだけで明るい気持ちにさせてくれるフィンレイソンのデザイン。第2会場は撮影が可能ですので、ぜひ写真にも収めて、お気に入りのデザインを見つけてください。


「創業200周年記念 フィンレイソン展
        ―フィンランドの暮らしに愛され続けたテキスタイル―」

<開催概要>
 会期:2022110日(月・祝)まで
 会場:京都文化博物館(京都市中京区三条高倉)
   http://www.bunpaku.or.jp/
 休館日:月曜日(祝日は開館、翌日休館)
 開館時間:10時~18時(金曜日は1930分まで)、入場はそれぞれ30分前まで
 観覧料(当日券):一般1,500円、大学・高校生1,100円、中学・小学生500

 展覧会公式ホームページ:https://www.mbs.jp/finlayson_kyoto/
 ※最新の情報は、展覧会公式ホームページまたは博物館ホームページをご確認ください。

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