歳時記
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2021.01.27
今年の節分は2月2日① 須賀神社「懸想文売り」
2021年の節分は2月3日ではなく、2月2日。立春が2月3日にずれることに伴うもので、明治30年(1897)以来、124年ぶりのことなのだとか。コロナ禍のため、追儺式や豆まきの行事、甘酒の接待などは中止とする神社やお寺が多いようです。おうちで粛々と豆まきをして、鬼とともに新型コロナウイルスも追い払いたいものですね。節分といえば鬼ですが、鬼ではなく、ミステリアスな人間が境内に出没する神社もあります。京都の聖護院にある須賀神社では、2人組の「懸想文(けそうふみ)売り」が節分の主役に。懸想文売りは、現在では節分の須賀神社でしか見られない貴重な京都の風俗行事です。須賀神社の社務所で授与される絵馬や御朱印にも描かれている、懸想文売りとは!?須賀神社で授与される懸想文は、"縁談や商売繁昌など人々の欲望をかなえる符札"。烏帽子(えぼし)と水干(すいかん)姿で、梅の枝に文を結んで歩くのが懸想文売りです。読み書きが一般的でない江戸時代、お正月に恋文の代筆業をしていた風習が受け継がれています。目だけを出して顔全体が白い布で覆われているのは、正体を見抜かれないようにするための策。その正体は公家たちで、教養がありながら生活に困窮していた彼らの秘密裏の副業だったとか。鼻や口が完全に隠された姿は、思いがけず感染症対策にもなっているのかもしれません。懸想文はお守として、タンスの引き出しの中などにこっそり忍ばせておくとべっぴんさんに!?さらに、早々に縁談が舞い込む、衣装持ちになるなどのご利益もあるといわれています。須賀神社(すがじんじゃ)京都市左京区聖護院円頓美町1市バス停熊野神社前下車、徒歩5分※豆まき行事は中止、2月1日(月)・2日(火)の「優雅な懸想文(お守)売り」は実施予定。
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2021.01.15
平安時代の故事にちなんだ「御粥神事」「御粥祭」
小豆の赤には邪気を払うパワーがあるとされ、京都では平安時代から食べられてきました。たとえば、「夏越の祓」の6月30日に、三角のういろうに小豆を散らした「水無月」をいただきます。小正月の1月15日には、小豆を食べると邪気が払われるという故事にちなみ、小豆粥を食べる風習も。上賀茂神社(賀茂別雷神社)では、「御粥(みかゆ)神事」が執り行われます。「樒(しきみ)」で作られた粥杖が、小豆粥とともに神前に供えられ、年中の除災が祈祷されます。また、下鴨神社(賀茂御祖神社)でも「御粥祭(おかゆさい)」が斎行される日。野菜や果物とともに小豆粥と大豆粥が神前に供えられ、五穀豊穣と国家国民の安泰が祈願されます。下鴨神社では、例年、祭事のあとにおさがりの小豆粥が参拝者に授与されてきました。2021年は祭事のみの斎行となり、小豆粥の授与は行われません。春には世間が落ち着いていることを願いながら、自宅で小豆を炊いてみたいと思います。小豆といえば、下鴨神社境内にある「休憩処 さるや」。下鴨神社の北に本店をかまえる「あずき処 宝泉堂(ほうせんどう)」が手がける茶店です。こちらでは、下鴨神社の宮司さんと考案したという甘味や軽食が提供されています。寒い時期の参拝帰りに味わいたいのが、丹波大納言小豆の風味豊かな「良縁ぜんざい」。縁結びにご利益のある、境内の末社「相生社(あいおいのやしろ)」にあやかったおぜんざいです。神様のおさがりの小豆で炊かれたおぜんざいと紅白のお餅に、身も心も温かくなるのを感じます。上賀茂神社(賀茂別雷神社)/かみがもじんじゃ(かもわけいかづちじんじゃ)京都市北区上賀茂本山339市バス停上賀茂御薗橋下車、徒歩3分下鴨神社(賀茂御祖神社)/しもがもじんじゃ(かもみおやじんじゃ)京都市左京区下鴨泉川町59市バス停下鴨神社前下車、徒歩すぐ休憩処 さるや京都市左京区下鴨泉川町59(下鴨神社境内)市バス停糺ノ森下車、徒歩2分
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2020.12.29
「子」と「丑」が並ぶ、下鴨神社の大絵馬
つい先日、新しい年を迎えたと思ったのに、もう除夜の鐘が聞こえるころになりました。干支も子(ねずみ)から丑(うし)へバトンタッチの準備が始まっています。境内に丑の絵馬が掲げられ、ひと足早く迎春ムードを迎えている神社やお寺も。また、いくつかの寺社では、新旧の干支の絵馬が並んで姿を見せています。たとえば、私が2020年のお正月にお参りした「下鴨神社(賀茂御祖神社)」。年の瀬の現在、舞殿の大絵馬は、子と丑の両方が参拝者を出迎えてくれています。下鴨神社の大絵馬は、干支がリアルタッチに描かれているのが特徴。神社によって絵馬のテイストがさまざまなのも楽しいですね。下鴨神社の境内でも新年に向けての準備が始まり、年の瀬ならではの雰囲気に包まれていました。コロナ禍のお正月は、分散参拝が推奨されています。前倒しして、12月に参拝を済ませた人もいるのではないでしょうか。下鴨神社では1月15日(金)まで初詣を受け付け。1月中、または2月の節分までを初詣とする寺社もあるので、密を避けてお参りくださいね。落ち着かない世の中ですが、2021年が皆さまにとってよい1年となりますように。下鴨神社(賀茂御祖神社)/しもがもじんじゃ(かもみおやじんじゃ)京都市左京区下鴨泉川町59市バス停下鴨神社前下車、徒歩すぐ
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2020.12.25
六波羅蜜寺で「空也踊躍念仏」厳修
天暦5年(951)、空也上人によって開創された「六波羅蜜寺(ろくはらみつじ)」。年の瀬の伝統行事「空也踊躍念仏(くうやゆやくねんぶつ)」をご紹介します。平安時代、京都で流行した伝染病の退散を願って空也上人が行った念仏が起源と伝わる踊り念仏。鎌倉時代には幕府による念仏の弾圧もあり、秘儀としてひそやかに厳修されてきました。弾圧が解けてもなお、"かくれ念仏"として一般の目に触れられることはなかったそうです。昭和50年代にようやく一般公開されるようになり、国の重要無形民俗文化財に指定。鎌倉時代から800年にもわたって法灯を守り続けた、代々のご住職に頭が下がる思いです。念仏のスタイルは独特で、唱和されるのは「南無阿弥陀仏」でなく「モーダーナンマイトー」。ご住職が鉦(かね)を叩き、踊りながら念仏を唱える節回しは空也上人の姿を模しているとか。いつでも中断して撤収できるよう、念仏には決められた終わりが定められていないのも特徴です。現在も夕方にひっそりと行われるなど、堂々と念仏を唱えられなかった時代の名残を感じます。コロナ禍の今こそ、1年の罪を悔い改め、新しい年の悪疫退散と幸せを祈りたいですね。「空也踊躍念仏」は12月13日(日)~31日(木)の毎日、16時から本堂で厳修されています。ただし31日(木)は非公開となるため、拝観される方は30日(水)までにお出かけください。拝観の際は感染症対策を万全に、また、本堂は冷え込むので防寒対策もお忘れなく。六波羅蜜寺(ろくはらみつじ)京都市東山区五条通大和大路上ル東京阪清水五条駅から徒歩7分https://www.rokuhara.or.jp/
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2020.11.20
11月の伝統行事「七五三まいり」
7歳・5歳・3歳の子どもの成長を祝う11月の伝統行事「七五三まいり」。晴れ着に身を包み、親御さんに手を引かれてお参りに向かうお子たちのかわいらしいこと。この三連休に、お参りを予定している人もいるのではないでしょうか。平安時代の儀式が起源とされ、江戸時代に現在のようなお参りが始まったといわれる七五三。わらべ歌「通りゃんせ」でも、七五三のお参りの情景がうたわれていますね。「ここはどこの細道じゃ(天神さまの細道じゃ)」京都で天神さまといえば、北野天満宮。天神信仰発祥の地として知られる、全国約1万2000社の天満宮・天神社の総本社です。知恵の神様・菅原道真公をご祭神とし、この菅原道真公こそが「天神さま」。北野天満宮でも、11月中は「七五三まいり」が随時受け付けられていますよ。また、「通りゃんせ」の歌の中に出てくる「行きはよいよい 帰りはこわい」。これには当時、参道を通って天神さまへお参りし、帰りは寂しい裏道を通ったという説もあるとか。北野天満宮でいうと、御土居のあたりが当時の帰り道だったのかもしれませんね。現在の北野天満宮の御土居といえば、七五三まいりの時期に公開される「史跡御土居のもみじ苑」。見ごろの紅葉を愛でに、多くの人でとてもにぎわっています。「七五三まいり」を申し込んで参詣した人は、もみじ苑の入苑料が半額になるとか。「帰りはこわい」なんてことはまったくなく、「帰りはたのしい」歌になりそうです。「通りゃんせ」の親子も今の時代をうらやましく感じているかも、などと勝手に思い馳せる秋です。北野天満宮(きたのてんまんぐう)京都市上京区馬喰町市バス停北野天満宮下車、徒歩すぐ
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2020.09.07
菊で彩る大人のひな祭り「重陽の節句」
9月9日は「重陽(ちょうよう)の節句」。「菊の節句」ともよばれ、菊の花を飾り、菊酒をいただいて無病息災や長寿を願う日です。江戸時代には、上巳の節句(桃の節句)に対して「後(のち)の雛」などとよばれていたとか。大人の女性はこの時期にお雛様を出して虫干しし、長寿や健康を願ったといわれています。奈良時代に、中国から薬草として日本に伝わったという菊。日本の国を象徴する花としても親しまれています。重陽の節句のお祝いに欠かせないのが、邪気を払うとされる菊酒。お酒に菊の花びらを浮かべるだけでも、香りや風情を感じることができそうです。食用菊はスーパーなどで手に入るため、手軽に菊酒を楽しめるのもうれしいですね。さらに、菊湯や菊枕など、お風呂や寝床で菊の花を楽しむ風習もあるのだとか。和菓子も、この時期は菊をモチーフにしたものがたくさん店頭に並んでいます。亀屋良長の「着綿(きせわた)」は、まさに重陽の節句をイメージした上生菓子。節句の前夜に菊の花にかぶせておいた綿で翌朝身を清める、不老長寿信仰にちなんでいます。かつては、上巳や端午などの五節句のなかで特に大切にされていたという重陽の節句。秋の夜長、当時に思いを馳せながら"大人のひな祭り"を楽しんでみてはいかがでしょうか。
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2020.07.31
京都のお中元の始まりの日「八朔(はっさく)」
8月1日は「八月朔日(さくじつ)」、縮めて「八朔(はっさく)」とよばれています。「月の最初の日」を意味する「朔日」。京都の八朔といえば、新暦の8月1日に花街で行われる挨拶まわりの風習ですね。例年、八朔には芸妓さんや舞妓さんが正装でお茶屋さんや芸事のお師匠さんのもとへ。「おめでとうさんどす」「おたの申します」などと、日ごろの感謝を伝える伝統行事です。京都のお中元の起源となった日でもあり、各家庭でもこの日よりお中元の挨拶が始まります。また、旧暦の八朔は9月の中ごろで、ちょうど早稲(わせ)の穂が実り出す時期。2020年は、9月17日が旧暦の八朔にあたります。農業を営む人々の間では、お世話になった人々に初穂を贈る風習があったとか。初穂の収穫に感謝し、田の神様に豊作を願ったことから「田の実の節句」などの呼び名も。「田の実」が転じて「頼み」となり、現在のお中元につながっているといわれています。ところで、「はっさく」と聞くと、口の中が酸っぱく、みずみずしくなる気がしませんか?実はあの果物のハッサクは、江戸時代に広島県の浄土寺で偶然、発見されたものだそう。ご住職が「八朔のころには食べられる」と言ったことが、名前の由来だといわれています。もちろん、現在では八朔のころにハッサクは出回らず、主に2~4月に食べごろを迎えます。伝統行事などが相次いで中止、規模縮小される今年も、心豊かで実りある日々となりますように。※2020年はコロナウイルス感染防止のため、五花街での「八朔」行事は行われないようです。
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2020.07.16
祇園祭期間にだけ開放される「御手洗井」
四条烏丸のビルの一角に、祇園祭の宵々山から還幸祭にかけて開放される井戸があります。烏丸通の東側、蛸薬師通と錦小路通の間にある「御手洗井(みたらいい)」。普段は木の柵で閉鎖されてひっそりとしているため、気づかずに通り過ぎている人も多いのでは?例年、7月14日に提灯やしめ縄が飾られ、15日の早朝に井戸開きが行われます。井戸開きのあと、24日までは井戸から湧き出る名水で手を清め、のどを潤すことができます。コロナ禍にある今年は山鉾巡行や還幸祭などは行われず、御手洗井も開放されていないようです。周辺の町名「手洗水町(てあらいみずちょう)」の由来にもなった、由緒ある御手洗井。来年は無事に祇園祭が執り行われ、井戸も開かれるよう願うばかりです。御手洗井(みたらいい)京都市中京区烏丸通蛸薬師下ル手洗水町
- お家でもできる!?ミニ提灯作りに挑戦︕
- 小刀作り体験
- 和紙照明づくり体験
- 七宝体験
- 京こま作り体験
- 金箔押し体験
- 土ひねり体験
- 和ろうそく絵付け体験
- 組紐手組み体験
- 木版絵はがき制作体験
- ミニ和傘作り体験
- 京扇子絵付け体験
- 「京都デニム」の職人が教えるデニム京友禅染め体験
- 華道1日体験
- 「おはりばこ」でつまみ細工の桜アクセサリー体験&散策コース
- 「染工房 正茂」で桜の手描友禅職人体験&散策コース
- 京菓子手づくり体験
- 手描友禅職人体験
- 京象嵌(きょうぞうがん)作り体験
- 匂袋作り体験
- 花結い Photo Plan
- 交趾(こうち)絵付体験
- トートバッグ染め体験
- つまみ細工のフラワーBOXづくり
- 水引細工の花カード
- オリジナル ミニ提灯作り
- 御朱印帳の表紙を木彫り体験