BLOG美人&イケメンスイーツ2019.03.19

祇園で立ち寄りたい甘味処『鍵善良房』の「くずきり」

京都在住の美人&イケメンにお気に入りのスイーツ、デザートを教えていただく企画。今回は、祇園の何必館・京都現代美術館でキュレーターを務める、梶川由紀さんに「鍵善良房」の「くずきり」についてお話いただきました。

推薦人:梶川由紀さん(何必館・京都現代美術館キュレーター)

祇園にある何必館・京都現代美術館でキュレーターとして多忙な日々を過ごしている梶川由紀さん。ヨーロッパ写真館(通称MEP)の設立に日本人キュレーターとして携わり、帰国後、何必館・京都現代美術館に写真部門を立ち上げ、国内外の展覧会企画や写真集の編集、執筆活動を行っている。その一方で、他の美術館での展覧会企画やアーティストの招聘などにも携わり、国内外で活躍中だ。

 そんな梶川さんが多忙な毎日の中でほっと安らぐ場所が、美術館のすぐ隣にある「鍵善良房」である。

「甘いものが食べたくなったり、お客様との会食の後に甘いものでも食べましょか、となった時、迷わずお連れするのが鍵善さんです。いつもいただくのが『くずきり』。黒蜜と白蜜があるのですが、私は黒蜜派。席が空いていれば、いつものお気に入りの窓際の席でいただきます」

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 「鍵善良房」の創業は江戸の享保年間。その歴史は300余年と伝わっている。

「当初は『鍵屋良房』という屋号だったようですが、代々の当主の名前に"善"の字を使ってきたことから、いつのまにか「鍵屋の善さん」と呼ばれるようになり、その愛称を生かして『鍵善』という二文字に変えて、その後、現在の『鍵善良房』という屋号になったようです」と話すのは十四代当主の今西善也さんだ。今西さんと梶川さんは親交があり、展覧会のポスターの展示などを依頼することもあるという。

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「店内の趣も調度品も素晴らしくて...。お菓子を売っているスペースの菓子棚は、人間国宝の黒田辰秋さんの作品で、どっしりとして艶めいてとても素晴らしいです。店の外の『くづきり』の扁額の筆者は河井寛次郎さんと伺っていますし、京都の文化人の方々との深い交流を感じさせてくれて、この祇園にある鍵善さんの歴史もとても魅力的です」(梶川さん)

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「『くずきり』は、他のお菓子では味わえないシンプルな美味しさが魅力。材料は葛と黒蜜のみ。つるんとした喉越しと絶妙なコシの強さは、本当にここだけの味だと思います。たっぷりとした黒い漆器に浮かぶ透明な『くずきり』は、本当に綺麗!といただく度に惚れ惚れしてしまいます」(梶川さん)

 

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その『くずきり』の製法は昔と全く変わらぬ作り方を守っている。まず、お客さんの注文を受けてから、一つひとつ職人が手作りするやり方を今も踏襲している。吉野の葛粉を水で溶いて平鍋に入れて、湯煎にかける。鍋の底の葛が薄く固まった頃合いでもう一度湯にかけ、透明になったところで水に晒す。 それを5〜6ミリの幅に切って、黒蜜、または白蜜とともに供する。人気があるのは黒蜜で、材料の黒糖は波照間を始め、沖縄の島々から取り寄せている。

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「『くずきり』は何代か前に、祇園のお茶屋さんに食事の後のお菓子として、ちょっと趣向を凝らしたものでということでお届けしていたのが始まりと聞いています。舌の超えた旦那衆にも評判で口コミで広がって、店の座敷に上がって食べていただくようになったようですね。

『くずきり』の美味しさの秘密は?とよく聞かれるのですが、決して手を抜かず、丁寧な仕事をするだけ、としかお答えのしようがないですね(笑)。あとはシンプルゆえにごまかしが効かないので、吉野葛にしても黒糖にしても、納得のいく品質の材料をいかに確保するかに苦心しています。今は使っていませんが、先々代の時に黒田辰秋氏に依頼して作った螺鈿のくずきり容器のことを覚えている年配のお客さんもおられますよ。何代にもわたってのお客様も大変多いので、"鍵善のあの味"をしっかりと守り、伝えることが私たちの使命だと思っています」と店主の今西善也さん。

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 梶川さんは、店で『くずきり』をいただくほか、銘菓「菊寿糖」や「おちょま」、季節のお菓子を海外へのお土産として買うこともしばしばあるという。

 自身がスイーツを食べるときは、自分へのご褒美だったり、仕事で一息入れたいとき、あるいは友人と楽しく過ごすとき。仕事のお相手とお菓子を一緒にいただくことで距離が縮まることもあるのだとか。

「ゆったりした空間で、美味しいお菓子とお茶を間にお話しすると、気持ちがすっとほどけていきますよね。鍵善さんはまさにそういうひとときを与えてくれる場所。そんな素敵な場所がお隣りさんにあって、京都に生まれてしあわせ!と思います」

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和三盆の干菓子を一つひとつ和紙で包んだ「おちょま」。おちょぼ口でつまめる愛らしいお菓子。祇園という花街で育まれただけに雅やかさと洗練とを合わせ持っている。

「美味しいお菓子とお茶を間にして、ゆったりとした空間でお話しすると、気持ちがすっとほどけていきますよね。鍵善さんはまさにそういうひとときを与えてくれる大切な場所です。そんな素敵な場所がおとなりさんにあって、京都に生まれてしあわせ!と思います」(梶川さん)

文 郡麻江  写真 津久井珠美

■鍵善良房

京都市東山区祇園町北側264番地
075-561-1818
営業時間/[菓子販売]9:00〜18:00、[喫茶]9:30~18:00 (L.O.17:45)
定休日/毎週月曜日(祝祭日の場合は翌日)
料金/くずきり1080円、菊寿糖(28個入り)1600円、おちょま(40個入り)2400円

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