BLOG美人&イケメンスイーツ2019.04.12

京都『ナンポルトクワ』の「リンゴのタルト」

京都在住の美人&イケメンにお気に入りのスイーツ、デザートを教えていただく企画。今回は、京都・清水焼の郷に窯を構える、明治時代から続く陶芸家の小川裕嗣さんに『ナンポルトクワ』の「リンゴのタルト」についてお話いただきました。

推薦人:小川裕嗣さん(陶芸家)

「オーナーシェフの西原裕勝さんは、御父上の味を継承しながら新しいお店をスタートされました。その姿勢に共感するところがあり、味覚を満たす以上のものをいただいているように感じています」

そう語る小川裕嗣さんは、京都・清水焼の郷に窯を構える明治時代から続く陶芸家の家に生まれ、三代・小川長樂氏を父に持つ。「ナンポルトクワ」の西原裕勝さんの父は、20185月に惜しまれつつも閉店したパティスリー「オ・グルニエ・ドール」のオーナーシェフ・西原金蔵氏だ。おふたりはともに父の仕事を受け継ぎながらも、自身の世界を表現するという共通点を持っている。

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裕勝さんは201810月に、「オ・グルニエ・ドール」の跡地に「ナンポルトクワ」をオープンした。フランスで修業を積み、父のもとで働いてきた裕勝さんの生みだしたスイーツとともに、金蔵氏の代表作である「リンゴのタルト」390円(税込)がショーケースに並んでいる。

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「母が通っていた料理教室の安田俱子先生にご推薦いただき、西原金蔵さんのリンゴのタルトと出合いました。ですので、オ・グルニエ・ドール時代の味もよく知っています。素材に対する真摯な姿勢も含め、裕勝さんは御父上の味を忠実に受け継がれています。
私は生クリームを多用したものより、オーセンティックな焼き菓子が好きなんです。砂糖とバター、生クリームだけで焼きあげたタルト生地はさっくりと歯ごたえがよく、季節ごとに選び抜かれたリンゴの甘味とほのかな酸味が絶妙に重なっています」

小川さんは、一緒にいただくドリンクにも一家言持っている。

「紅茶はもちろんですが、シャンパーニュ、リンゴから作る辛口のシードルやカルバドスとも合わせます。私はコース料理のデザートも、お酒でいただきたいタイプなので(笑)。裕勝さんもお酒をよくご存じなので、おすすめいただくこともあります。今後は、相性のいい日本酒も探してみようと思っています」

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「オ・グルニエ・ドール」の閉店は、「65歳で引退する」という金蔵氏の人生設計に沿ったものだった。金蔵氏は裕勝さんに「そのまま店を継ぐのではなく、銀行とやりとりし、計画書を用意し、内装も考えるなど、自分でイチから店を作りなさい。そのほうが店に対して思い入れが深くなるから」と伝えたという。

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「ナンポルトクワ」とはフランス語で「なんでもあり」という意味。裕勝さんはオープンにあたって、「オ・グルニエ・ドール」にはなかったものを数多く作り出した。たとえば抹茶や白あんなどの和の素材や、スパイスなど香りのあるものを取り入れるなど、フランスの伝統的技法をベースに個性が立ったものだ。瓶入りのチーズケーキなどもユニークな一品だ。

小川さんがリンゴのタルトのほかに好きだという「ほうじ茶ブラマンジェ」480円も、「ナンポルトクワ」のオリジナル。宇治の利招園茶舗の特上ほうじ茶を使用している。

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「ほうじ茶の香ばしさと、ブラマンジェの濃厚さ、そして口の中で溶けてゆく滑らかさがたまりません」

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しかしリンゴのタルトだけは、手を加えることなく父の味をそのまま提供している。

「高校卒業後、フランスへ語学留学する前に、名古屋の催事に出店する父の手伝いで、リンゴのタルトの実演販売をしました。この時初めてお菓子作りに仕事として携わったんです。わずか4~5日でしたが、終わった時に得も言われぬ達成感がありました。
妻の杏菜はリンゴのタルトの味に魅了されて、パティシエとして『オ・グルニエ・ドール』にやってきました。
私たち夫婦にとってとても思い出深いお菓子が、リンゴのタルトなんです。すでに完成している味で、これ以上美味しくする方法がありません。だから手を加えることなく、父のレシピを忠実に守っています。厳選した品種が実らない5月末~9月頭は販売できません」(裕勝さん)

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「リンゴのタルトを食べたくなるのは、仕事で疲れ、たまらなく甘いものを欲する時ですね。妻とよくいただいています。人数分より少し多めに購入して、一度に2つ食べることもあります。本当は何個でもいただけるんですが......(笑)。母の誕生日には2分の1ホールを2つ、実質1ホール用意していただきました」(小川さん)※現在一時的に販売限定数有り

小川さんはテイクアウトが多いそうだが、入り口付近には10席ほどのカウンターがあり、セルフで淹れるコーヒーとともに、ここでいただくこともできる。

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モノトーンを基調にした店内。その壁にはタイ人アーティストによる、著名人を描いたポップアートが並んでいる。ショーケース内や棚には、裕勝さんが趣味で集めたフィギュアも。ロックが好きな裕勝さんは、高校時代にはエレキギターをかき鳴らしていたとかで、ザ・ローリング・ストーンズやボブ・ディランなどのポスターも目を引く。こうしたインテリアコーディネートは、すべて裕勝さんと杏菜さんの手による。

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壁の一角には、父・金蔵氏の師であるアラン・シャペル氏のポートレートも掲げられている。

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「和菓子を選ぶときは、花びら餅、引千切、水無月、お火焚き饅頭など、歳時記を意識しています。また家業柄、日常的にお抹茶といただいています。その点、洋菓子は季節感を大事にしながらも、より大らかに選んでいますね。何より重要視しているのは、自然な甘みで素材の味をしっかり感じることができ、丁寧な仕事をされているかということです。裕勝さんの作られるものは、まさにそれです。リンゴのタルトをお土産にすると、オ・グルニエ・ドール時代をご存じの方は懐かしまれ、初めての方からは新鮮な反応をいただきます」(小川さん)

最後に小川さんは「同世代のつくり手として、今後どう進んでいかれるか楽しみです」と、裕勝さんにエールを送った。

撮影 鈴木誠一 文 竹中式子

■ナンポルトクワ

京都市中京区堺町通錦小路上ル527-1
075-708-3742
11:00~18:00※売り切れ次第終了(開店2時間ほどで終了する場合もあり)
定休日/月曜、火曜、水曜
https://www.facebook.com/Nimportequoi2018/

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