BLOG美人&イケメンスイーツ2020.03.13

『銀閣寺 㐂み家』の「豆かん」

京都在住の美人&イケメンにお気に入りのスイーツ、デザートを教えていただく企画。書道家として国内外で活躍する川尾朋子さんに多彩な創作の中で、時折、ほっと心身を解放できる場所の一つが、大好きな「豆かん」をいただける「銀閣寺 㐂み家」を紹介していただきました。

推薦人:川尾朋子さん

書家。6歳より書を学び、2004年より祥洲氏に師事。
様々な角度から「書」を捉え、現代の書作品を制作。宙を舞う筆の動きに着眼した「呼応シリーズ」、自身が文字の一部になる「人文字シリーズ」などを発表。近年の活動として、Rugby World Cup 2019 Official Movie、BBC「Art of Japanese Life」、映画「Van Gogh & Japan」出演。現在、京都新聞CM,コカコーラ社「DRAGON BOOST」CM出演中。

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 銀閣寺からほど近い場所にある小さな甘味処「銀閣寺 㐂み家」。木のぬくもりに満ちた店内には、いつも静かな時間が流れています。

「数年前に友人に連れられてここに来ました。豆かんをすすめられていただいたのですが、お豆の美味しさとあっさりとしながらも上品な甘さ、そして、あのつるんと冷たい寒天との絶妙なバランスに感動しました...!」と川尾さん。

 それ以来、海外から来た友人を連れていったり、自身も創作で多忙な時期に一人で訪れて、ゆっくり豆かんを食べて心身をリフレッシュして、また創作に取り組むということが多いのだそう。

「何よりも、お店の雰囲気が好きなんです。落ち着いた店内やお店の方の物柔らかな接客など、お店自体が癒しの空間になっているんだなあと思います。またこの辺りの銀閣寺界隈には、いつもゆったりとした時間が流れているので、帰りの散策も楽しみなんですよ」

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どこか懐かしくほっと心安らぐ空間。

「銀閣寺 㐂み家」は、北村れい子さんと渡邉裕子さん姉妹が、20年前に始めた甘味処。姉妹二人でいろいろな素材やレシピを試行しながら、豆かんをはじめとするメニューを一つひとつ、大切に作り上げてきました。

「実は私たちは東京の出身なんです。豆かんは私自身大好きな味で、東京時代の懐かしい味でもあるので、ぜひお店でお出ししたかったんですよ」と姉のれい子さん。

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赤えんどう豆がたっぷり入った豆かん630円。寒天が艶やかにきらめいて、とても美しい。黒蜜をかけるとすぐに水っぽくなってしまうので、出来立てをすぐに食べて欲しい。 

 美しい器に盛られた豆かんは、ほんのり紅みがかったまん丸いお豆がころころとたっぷりと入って、透明な四角い寒天がところどころに見え隠れしています。ひと口いただいてみると、赤えんどう豆はとろけるような柔らかさで、全体にあっさりとした味わいながら、豆本来の甘みとコク、そこに黒蜜がよくからんで、寒天のつるりとした食感と共にスルスルと喉を通っていきます。

「赤えんどう豆は、皮が固く、中身が煮崩れやいので、時間をかけて、そうっとそうっと静かに炊き上げていくんです。すべて手作りを大切にしているので、なかなかハードな毎日なんですよ(笑)」と妹の裕子さん。

 豆かんとともに、芳しい香りのほうじ茶が供されます。京都の茶舗のもので、いろいろ試した中から、もっとも相性の良い茶葉を二人で選んだのだそう。

豆かんの美味しさを邪魔することなく、互いにその美味しさをよく引き立て合っているのがわかります。「ほうじ茶は夏は冷たく、冬は温かくしてお出ししています」。そんな細やかなサービスにも心が和みます。

 夏場はひんやりと喉を潤し、冬場は暖かい部屋でつるんと冷たい食感を楽しむ。甘すぎず、全くくどさのない豆かんは、四季折々どんな季節にもよくあって、不思議なことに一度食べると、またすぐに食べたくなる、そんな一品です。

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「豆かんはトッピングが多彩で、粒あんや白玉、アイスクリームを載せたものもあって、お友達とそれぞれ違うトッピングを選んだり、その時々で色々な味わいを楽しめるのがいいですね。冬場は季節限定のぜんざいも大好きで、よく注文するんですよ」と川尾さん。

 北海道産の小豆を丁寧に炊き上げたぜんざいは、自家製の丸餅をこんがりと焼いてお椀の中へ。さらりとしていて、小豆のまろやかな味わいが満ちて、焼き丸餅の香ばしさがアクセントに。たっぷりと入った一椀もするりと完食。

暖かさが体の芯からじんわりと広がっていきます。

 赤えんどう豆も小豆も北海道産を使用し、毎日、厨房で炊き上げています。丸餅は近江羽二重を蒸して搗いた自家製、塩こぶも然り。豆かんの黒蜜も波照間島の黒糖などを使用して、丁寧に炊き上げます。

「昔は家庭で小豆を炊いてぜんざいを作ったり、おやつもお母さんの手作りが多かったですよね。そういった家庭の台所で普通に作るお菓子にように、気取らない、どこか懐かしい優しいお菓子を作りたいと思っています」とれい子さん。

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甘すぎず、それでいて濃厚なうまみを感じる、ぜんざい750円。こんがり丸餅の香ばしさが嬉しい。

 れい子さんも裕子さんも、何より難しいのが、日々、安定して同じ美味しさを提供するということだといいます。創業当時から通う常連さんや遠方からのファンも多く、「"㐂み家"のあの味を食べたい」という思いに応え続けるには、日々、基本をしっかりと積み重ねていくこと。素材、水、天候など、すべてが年々、刻々と変わっていく中で、いかに時間をかけて丁寧に仕事をするかが大切なのでしょう。

 あの豆かんを食べたい!と思い立ったら、どうしても行きたくなってしまう一軒。姉妹が愛情込めて作る甘味は、幼い頃を思い出させてくれるような、そんな懐かしさに満ちています。"あの味"をゆっくりと味わううちに、心身が穏やかにリセットされる、ここはそんな場所なのです。

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レトロな風情のレジが最近、お客さんの注目を集めているのだとか。現在では貴重な一品。

撮影/竹中稔彦
取材・文/郡 麻江

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■銀閣寺 㐂み家

京都市左京区浄土寺上南田町37-1
075-761-4127
11:00~17:00
水曜日定休

食知新

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