BLOG外国人料理人奮闘記2020.02.19

イタリア人料理人トルメナ・エディさんの「しょうがない」

今回の外国人料理人は、西院でジェラート専門店「カフェラッテ」を営むトルメナ・エディさん。日本人の奥様と二人三脚で作り上げたお店について、またイタリア人にとってのジェラートとは?-誠実な仕事ぶりとともに、ご紹介します。

はじまりはオーストラリア

僕は21歳のときに故郷であるイタリアのヴェネト州を出て、オーストラリアで暮らし始めました。オーストラリアではサラリーマンをしていたのですが、その時に今の妻、広美と出会いました。その後、それぞれの国に戻って5年くらい遠距離恋愛を続け、再び二人の思い出の地・オーストラリアへ。現地で結婚し、当初はガイドなどで生計を立てていましたが、そのうち何か新しいことに挑戦したくなって......。そのとき、新たなチャレンジの場として選んだのが日本でした。

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妻の母国である日本へは、それまでも旅行や帰省で何度か訪れていましたが「日本でジェラテリアを開く」と決めて本格的に移住したのは、今から15年くらい前になります。最初は京都でなく、沖縄で店を開く予定でした。ところが物件探しが難航し、一度は「もうオーストラリアに帰ろうか?」と諦めかけたほど。でもやっぱりオーストラリアに戻りたくない、日本でお店をしたい!という思いが強く、京都でお店を出すことにしたんです。

地元の人に愛されるお店を目指して

なぜ京都かって? 僕はイタリアでもカントリーサイドの出身で、東京や大阪のような大都会は苦手なんです。その点、京都は高層ビルもないし、こじんまりとした街のサイズ感がちょうどよかった。外国人にも好意的で、関東出身の妻も京都のことは昔から気に入っていたので、二つ返事で賛成してくれました。

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人が集まる観光地でなく西院に店を構えたのは、地元の人に長く通ってもらえるお店にしたかったから。実際オープン当初からのお客さんで、当時まだ5歳だった子が、20歳になった今も通ってくれています。その頃の京都ではジェラートの認知度もまだまだ低く、一から商品の説明をしなきゃいけなかった。アイスクリームと同じなのに"水っぽくてシャリシャリとしたもの"と誤解している人が多くて、お店に入ってきても「ジェラート」と聞いて、買わずに帰っていく人もいましたね。

でも近くの外大(京都外国語大学)の学生さんや先生たちは、新しいものが好きだったり、英語やイタリア語を学んでいたりということもあって、オープン当初からよく来てくれました。今でも大勢の外大生が通ってくれています。

イタリアの味を京都で再現

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イタリアでスイーツといえばジェラート。イタリア人は夏は毎日ジェラートを食べます。逆にジェラート以外のスイーツは食べません。それぐらいジェラート一筋。人によってそれぞれお気に入りのジェラテリアがあって、お店によって味も全然違いますね。日本のラーメン屋さんも店によって味が違うでしょ? それと同じ。使う材料やレシピによって、出来上がりがまったく違うんです。僕も子どものころから通っているお気に入りのお店があって、ここを開く前に修業させてもらいました。

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僕のジェラートはイタリアのジェラートそのままの味。日本向けの特別なアレンジはしていません。日本では「甘さ控えめ」が人気だけれど、イタリアで食べられているそのままの味を再現したかった。だから最初は「甘すぎる」という声もありましたが、今では「カフェラッテの味」として、受け入れもらえたと思います。

作りたてのおいしさは格別

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今は冬なのでちょっと種類が少ないけど、夏の週末は16種類ぐらいのフレーバーを用意しています。旬のフレッシュなフルーツを使うので、フレーバーは時期によっていろいろ。冬はいちごやピスタチオ、マカデミアナッツがおすすめ。夏は桃、スイカ、メロン、マンゴー、ヨーグルトなど、さっぱりとしたフルーツ系が人気です。

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ジェラートはやっぱり作りたてが一番おいしい。日が経つにつれて味が落ちていくので、うちでは夏場で2日、冬でも3日で廃棄してしまいます。特にナッツ系は、できたてとそうでないものの違いが歴然で、作りたては香りが全然違います。長期保存が可能な大手メーカー品との違いを、ぜひ味わってほしいですね。

This is "HOME".

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好きな言葉は「しょうがない」です。なぜ? どうして? と深く追求せず、大抵のことは「しょうがない」と流してくれる、日本人のそういうところが好きですね。イタリア人って文句ばっかり言ってるでしょ?(笑) 議論好きで、白黒はっきりつけないと気が済まない。それに比べて日本では、いい意味で無関心というか、他人に対して無遠慮に踏み込まない。僕は昔から議論するのが好きではないし、他人にあまり干渉しない日本の絶妙な距離感が心地いいと感じます。

京都の好きなところは古いお寺や建物がたくさんあるところ。今でもシーズンごとにお気に入りのお寺に出かけます。祭りも好きで、祇園祭も必ず見に行きますね。21歳でイタリアを出て約30年。実はこの14年、一度も里帰りをしていません。ホームシックになることもありませんね。今ではここ、京都がホーム。京都に骨を埋めるつもりで、これからも「おいしい、幸せ!」というお客さんの声が聞けるように、おいしいジェラートを作り続けていきたいと思います。

写真 ハリー中西 取材・文 鈴木敦子

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■caffellatte(カフェラッテ)

京都市右京区乾町70‐1 ジェミニビル1F
075-322-2766
13:00~20:00(土・日曜12:00~21:00)
休 月曜
※2020年2月1日~3月15日の期間は土・日曜のみ営業

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