BLOGクリエイティブ食事術2018.12.10

「本Pのクリエイティブ食事術」 第2回

By本郷義浩

僕は、『あまからアベニュー』から『魔法のレストラン』『真実の料理人』まで、料理情報番組を30年近く制作してきましたので、必然的に、料理、料理店、料理人の皆さんと接する機会が多々あり、食べる側、グルメな人々とのネットワークも構築できてきました。食に関して、日々、あれこれと考えているわけですが、ひとつのシンプルな結論は、「食事の時間をより楽しく、面白くする工夫をする方が、人生はより楽しくなる」ということです。その方法を「クリエイティブ食事術」と名づけていて、この連載で具体的に紹介していきたいと思います。

Pクリエイティブ食事術その2

【料理店や料理、料理法、道具などについて、「?」「どうして?」という疑問を持って、調べてみる】

前回、疑問に思った「【三嶋亭】のすき焼き鍋はどうして、八角形をしているのか?」について調べてみました。

結果、【三嶋亭】に関して、とても興味深い知見を得ることができました。初代・三嶌兼吉さんが【三嶋亭】を創業した明治6年当初は、すき焼きには丸鍋を使っていました。テーブル中央のドーナツ型の穴にいこった炭を入れて丸鍋を加熱。当時に近い道具を撮った写真が残っています。

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昭和2年、三代目(五代目・三嶌太郎さんの祖父)は、すき焼きの熱源を炭火から、「電熱」に切り替えました。当時、京都では「電気普及キャンペーン」が行なわれていて、三代目は「京都電燈」(関西電力の前身)、「京福電鉄」の社長さんらと懇意だったことから、電気の将来性を見越して、「すき焼きに電気を使ってみよう!」と決心されたそうです。以来今も、【三嶋亭】のすき焼きの熱源は電気です。ただ、この時のすき焼き鍋は、まだ丸鍋でした。

【三嶋亭】の店主は代がかわるごとに、オリジナリティを出して、何か改革をしていきました。四代目(五代目・三嶌太郎さんの父)は、昭和26年に跡を継ぐと、丸鍋から八角形のすき焼き鍋に切り替えました。

(※二代目については情報が少ないので、どのような手腕を発揮したのか不明とのこと)

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八角形にしたのは「末広がりで縁起が良く、商売繁盛につながる」との思いからだったそうで、それまで丸鍋を作ってもらっていた岩手県の南部鉄器メーカー『岩鋳』(明治35年創業)にオーダーしました。

鍋を八角形にし、さらにはテーブルの形も八角形(現在は、石川県の輪島塗)に。4人で囲むと、まさに角がとれて話しやすいのです。

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客と客の間に仲居さんも入りやすく、鍋との距離も縮まり、すき焼きを作りやすい、サービスがしやすいというメリットも生まれたのではないでしょうか。

当主が、代々改革を重ね、まさに「京都知新」的な継承と創造をくりかえされてきたからこそ、140年以上に渡って繁盛を続けてこられたのだと改めて感じ入りました。

当代(五代目)の三嶌太郎さんは、醤油ベースの割り下を改良し(どう改良されたのか聞いてみたいです)、さらには新店を20187月にオープン。それもステーキの店。これは行ってみるしかありません。八角形のすき焼き鍋に「?」を感じて、調べている

うちに知った「新店」の存在。これは「縁」です。

僕は、なんらかの縁があって自分のアクションで知ることができた「新店」には、できるだけ行くことにしています。逆に、新店オープンご招待パーティーや、マスコミレセプションにはできるだけ行かないことにしています。

Pクリエイティブ食事術その3

【縁を感じた「新店」へはとにかく行ってみる】

今からお店の予約をとりますので、体験記は次回の連載に。果たして、割り下の改良点を教えていただけるでしょうか。新店はどんな店でしょうか。

■ 「三嶋亭」

三嶋亭 本店
〒604-8035 京都市中京区寺町三条下る
三嶋亭 高島屋京都店
〒604-8035 京都市下京区四条通河原町西入ル真町52
三嶋亭 大丸京都店
〒600-8520 京都市下京区四条通高倉西入ル立売西町79
https://www.mishima-tei.co.jp/

本郷義浩ほんごうよしひろ

1990年から料理情報番組「あまからアベニュー」を8年間担当。2001年4月、現在も継続中の「水野真紀の魔法のレストラン」を立ち上げる。料理人のドキュメンタリー「真実の料理人」は、毎年制作。京都、奈良の名刹を舞台にした「音舞台」シリーズは、2000年から担当し、2017年は「金閣寺音舞台」。2018年は「東大寺音舞台」。2006年「美の京都遺産」を立ち上げ、2016年4月、後継番組である「京都知新」を立ち上げる。京都の和装と洋装のファッションショー「ファッションカンタータfrom KYOTO」の番組制作も2015年から手がけている。

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