京の会長&社長めし
京都にある会社の会長&社長は、どんな店でどんな料理を食べているのでしょうか? 彼らが通う一見さんお断りの超高級店から大衆店までご紹介していきます。
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2021.04.15
有限会社月ヶ瀬の社長が通う店「よこ林」
■平栗 由貴(ひらぐり ゆき)さん 1975年 京都生まれ。早稲田大学第二文学部卒業在学中 タイ国立タマサート大学へ交換留学現地にて タイ旭電機株式会社、タイ国三井物産株式会社入社2005年 有限会社月ヶ瀬入社2015年 4代目として代表取締役就任四条河原町にて昭和元年創業の甘味処。京都で初めてあんみつをお出しし、以来「あんみつの『月ヶ瀬』」と親しまれている。現在は、京都市内に祇園店、堺町店、高島屋店の3店舗。https://tsukigase.jp 最後の晩餐は、お母様お手製のちりめん山椒をかけたおじゃこご飯と生麩の揚げ出し。四季折々の味覚と大将との会話をご馳走に、祇園の風情を感じながら過ごす路地裏の割烹京都の街中にはいたるところに小路や路地があり、そこで魅力的な店に出合うことも少なくない。賑やかな四条通から大和大路通を南へ進んだ一筋目。つい見過ごしそうな細い路地の中に今回紹介する「よこ林」がある。旬の食材を好みの調理法で食べさせてくれる昔ながらの割烹。1988年に創業し、芸舞妓や地元の旦那衆などに親しまれている。平栗さんは、高校生の頃から家族ぐるみでこの店を利用しているという。「会長である父が昔からなじみで、家族の祝いごとや姉たちが帰省した時など、節目の時に皆で利用する大事なお店です。大将がとても気さくな方で、気軽に行ける雰囲気のお店でありながら、しっかりとした割烹のお料理を味わえます。他府県の方に京都のお店を紹介してと言われたら、いつもこちらをお薦めしています」(平栗さん)店は一軒家の一階部分に、掘りごたつのカウンター6席(通常7席)と小上がり8席のこぢんまりとした造り。坪庭や壁に飾られた舞妓の絵などが京都らしい風情を醸し出している。「もう30年くらいになるかな。平栗さんのお父さんが紹介で来店されて、それからのお付き合いです。よく家族でお見えになっていました」そう話す店主の横林勉さんは、神奈川県川崎市出身。中学の頃から何か手に職をつけたいと考えていた横林さんは、高校3年の時、東京の寿司店に勤めていた先輩から京都の割烹を紹介され、料理の道へ。この店を開くまで、京都の和食店や料理旅館などで腕を磨いてきたという。メニューはおまかせコースと多彩な一品があり、品書きにないその時々のお薦めも登場する。平栗さんは、いつもお決まりの品々に季節のものをプラスして楽しむそうだ。「ぐじの塩焼き、ゆば万十、鱧の焼霜など、これぞ京都のお料理というものが味わえます。今時の華やかなものではないけれど、季節感があって、素材の味がシンプルに出ていておいしいです。今は子供が小さいこともありなかなか行けませんが、以前は季節のものが食べたくなると、『そろそろ筍の季節やし』という感じで行っていました」(平栗さん)魚や野菜などの食材は主に錦市場へ赴き、吟味して調達する。例えば鱧はできる限り韓国産を用い、横林さんが京都で一番好きな食材という筍は、根元をかじって味や食感を確かめながら選ぶという。「いい材料を用意してシンプルに出すのが一番いいと、私は思っているんです。素材を生かして素直に召し上がってもらう。いいものを持ってきたら、お塩だけで十分おいしいんですよ」と、横林さん。丁寧な仕事で素材の持ち味を引き出した料理には、かぶら蒸しやなす田楽、あら煮、丸鍋などのおなじみの味に加え、お薦めの鮑の唐揚げや銀杏の醤油炒りなど他店では見られないメニューもあり、好評だ。平栗さんたち常連には締めに食べるうにいくらご飯も人気だという。平栗さんがいつも欠かさず頼むという大好物の「ゆば万十」1100円(税込)。百合根ときくらげを湯葉で包んで油で揚げ、熱湯で油抜きしたあと、だしと醤油、砂糖で炊いていく。「あんかけのお料理で、やさしいお味が気に入っています。おだしがやっぱりおいしい。タイに住んでいた時、よくこの味を思い出していました」(平栗さん)なめらかな口当たりの百合根の甘味をだしの風味が包み込む、ほっとする一品。素材のうま味をシンプルに味わう店のお薦めの一つ「笹カレイの唐揚げ」1980円(税込)は、ポン酢と塩を添えて。身の部分はふっくらとして、骨せんべいは香ばしく、しみじみとおいしい。カレイは中骨を包丁で叩いて厚みを均一にし、ムラなく揚がるようにしている。いい素材をよりおいしくするためにこうした一手間は欠かせない。「お酒は日本酒、焼酎、ワイン、ビールなど一通りありますが、種類は置かず、お客さんが飲みたいと言われたものをご用意したりします」と、横林さん。「お酒で儲ける気はないので」と、どれも驚くほどリーズナブルに楽しめるのがうれしい。写真は福知山の酒蔵が造ったオリジナルの冷酒「よこ林」。純米吟醸で飲みやすく、人気だ。四季折々の心尽くしの料理と、話好きの横林さんや共に切り盛りする奥さんが作る和やかな雰囲気に、安心して食事のひと時を過ごせるのだろう。ここでは平栗さんのように家族連れの常連も少なくないという。ちなみに、平栗さんは独身の頃、両親と今のご主人の4人で訪れたことがあったそうだ。「まだ結婚を迷っていた時だったんですが、そこで『結婚しとけばいいやんか』と言われ、じゃあ結婚しますとなって(笑)。それで父と一緒に大将が万歳三唱してくれました」この時のことは横林さんも記憶に残っていると話す。「万歳三唱したことまでは覚えていませんが(笑)、いい彼氏さんができたなあと思って見ていましたね」平栗さんが「うちの家族全員よくわかってもらっている」と話すように、長年の信頼関係が窺えるエピソード。ここでの食事の記憶は、そうした家族の思い出ともリンクしているのだ。予算はおまかせが10000円~、一品とお酒で12000円程度。これからは、筍料理、ホタルイカ、白魚の唐揚げといった春のメニューも楽しみだ。撮影 エディ・オオムラ 文 山本真由美■よこ林京都市東山区大和大路四条下ル一筋目西入ル075-541-2462営業時間 17時~22時 ※要予約定休日 日曜
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2021.03.17
丹山酒造有限会社の社長が通う店「松葉」
■長谷川 渚(はせがわ なぎさ)さん 丹山酒造有限会社 取締役社長1978年京都府亀岡市生まれ。地元の高校を卒業後、滋賀県余呉発酵機構研究所で発酵学を学び、その後半年間、東京農業大学の小泉武夫先生の研究室で研究生として発酵を学ぶ。実家の丹山酒造に戻り、製造の職人として15年程。現在は5代目として会社の経営に携わっている。最後の晩餐は、母のお手製の玉ねぎソースをかけた肉料理。伝統の味を守りつつ新たなメニュー開発にも挑む、にしんそば発祥の老舗京都の名物、にしんそば。京都人のソウルフードともいえるこの料理を考案したことで知られるのが、四条大橋東詰にある老舗蕎麦店「松葉」だ。創業は1861(文久元)年。初代が芝居茶屋を営んだのが始まりという。ここ本店では、にしんそばをはじめとする麺類、丼、弁当などが楽しめ、推薦者の長谷川さんも幼い頃からこの店の味に親しんできたという。「幼稚園か小学校の頃、祖母に南座の帰りに何度か連れて行ってもらった記憶があります。松葉さんとお仕事のお付き合いをさせていただくようになってからは、営業の合間などによく利用しています。私の中では松葉さんといえば、やはりにしんそばのイメージです」(長谷川さん)地上5階、地下1階の本店は昭和48年の建造。地元客、観光客、舞台関係者など、さまざまな人が訪れる。「昔からの柱や机など趣があって気に入っています。小さい頃は四条通と川端通が見える席で、市バスなどを眺めるのが好きでした」(長谷川さん)名物のにしんそばが誕生したのは明治15年。2代目の松野輿三吉(よさきち)氏が、貴重なたんぱく源だった身欠きにしんを甘辛く炊き、蕎麦と組み合わせて売り出したという。「京都にはにしん茄子というおばんざいがあったんですが、昔の身欠きにしんは硬くて、小骨が多く臭いもきつい。水でもどして炊くのにすごく手間がかかるから、家庭ではあまり作られていなかった。それを骨まで柔らかく炊いて、お蕎麦に入れるという発想でした」と、輿三吉氏の孫で4代目の松野泰治さんが説明する。北海道産の身欠きにしんは、毎日水を替えながら1~2日水に浸し、次に水炊きしたあと、みりん、酒、砂糖、醤油で半日煮込んでいく。炊き上がったらさらに煮汁に1日漬け込み、ようやく完成となる。今も手間入りだが、昔は水で戻すのに7~10日要したという。そんな扱いにくいにしんを使った蕎麦は、京都の人々に新鮮に映ったようだ。「当時マスコミの情報などないなか、にしんそばのことが知れ渡って、にしんが上手に炊けていると評判もよかったようです」(松野さん)麵は自家製、だしはイワシ、サバ、カツオをブレンドした削り節と利尻昆布で取っている。長谷川さんをはじめ、多くの常連が頼む「にしんそば」は1430円。「最初はあっさりしたおだしが、最後はにしんから出た味でしっかりしたおだしになる。その変化も楽しんでいます」という長谷川さんの言葉に、「そんなふうに召し上がっていただくのはありがたいですね。うちでは鉢の底ににしんを敷き、その上にお蕎麦、おだしを入れます。まずおだしを飲んでお蕎麦を手繰っていくと、にしんの煮汁とだしが絡み、最後に独特のにしんそばの味になるんです」と松野さん。にしんの甘辛さと旨味になじむ繊細な蕎麦とだし。最後の一口まで考えられたおいしさだ。(注:写真ではわかりやすいようににしんを見せています)「角煮がとろとろですごくおいしい」という長谷川さんのお薦め「角煮うどん」1430円は、約10年前に考案された人気メニュー。八角、ネギを加えて飴色に炊き上げた豚の角煮は、上品なだしと麺にバランスよくなじみ、意外と重さを感じさせない。「ほかにもいろいろおいしいものはありますが、これは角煮と和の組み合わせが斬新で、衝撃を受けました。松野社長は伝統を守る一方で新しいものにチャレンジされている。発想が明るくて前向きで、自分が仕事をする上でもすごく勉強になります」(長谷川さん)「同じものを続けることも大事ですが、AとBを足しておいしかったらやるべきやというのが私の考え方です」と、松野さん。角煮うどん以外にもゆりねうどんや連獅子そばなど、オリジナルメニューを作り出している。それらが生まれる場になっているのが、年3回の落語の会。プロの落語と蕎麦を楽しむこの催しでは毎回趣向を凝らした麵料理を提供し、好評だったものは商品化しているという。上の写真のオリジナルの日本酒は、丹山酒造に特注したものだ。「松野社長とは20年ほど前に府の物産協会でお会いしたんですが、まだ社会人になりたての私に、お蕎麦に合うお酒を提案してほしいと声をかけてくださったんです」(長谷川さん)当時、東京へ蕎麦打ちを学びに行っていた松野さん。東京では蕎麦屋で昼酒を飲む文化があることを知り、自分の店でも昼酒を楽しめるようにと、酒造りを依頼したという。「蕎麦が主役で、それを引き立てるお酒。一所懸命研究していただいて、最終的にできたのが『松葉』です。おかげさまで評判が良く、今は吟醸系の『与三吉』を加えた2つを出しています」(松野さん) 下の写真は、先代の時に作ったマッチ箱。長谷川さんは猫のイラストが気に入り、「与三吉」のラベルに使わせてもらったそうだ。「一人で行って、ぱっと食べて、さっと出ることが多い」という長谷川さんだが、ここでの食事は短いながらも癒しのひと時になっている。「何も考えず、外の景色を見ながらリラックスできるあの空間がすごく好きで。自分のペースで時間を楽しみたいので、いい意味でほっといてもらえるのもうれしいですね」「一人でも多くのお客さんに喜んでいただけるよう、お仕事させてもらうこと。それをずっと大事にしていきたいですね」と、松野さん。新しい魅力も加えながら、感謝の心で伝統を受け継いでいく。撮影 エディ・オオムラ 文 山本真由美■松葉 本店京都市東山区四条大橋東入ル川端町192075-561-1451営業時間 11時~18時(LO17時45分)定休日 水曜(祝日の場合は営業)※季節により変更あり※営業時間は状況により変更の場合あり。お店にお問い合わせください。http://www.sobamatsuba.co.jp/
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2021.02.18
菱高SDB株式会社の社長が通う店「HUNTER(ハンター)」
■小川 敬介(おがわ けいすけ)さん 菱高SDB株式会社 代表取締役1978年生まれ。愛知県豊橋創造大学を卒業後、2003年4月に株式会社菱高SDネットワークに入社。先代である父の跡を継ぎ2020年7月に菱高SDB株式会社代表取締役に就任、障子の貼替、畳の表替えから大型の工場や倉庫、賃貸マンションや自動車ディーラーショールームの設計施工まで幅広く関わることで、建設業を通して明るい豊かな社会に寄与することを目標にして今に至る。現在は今までの事業を展開しながら、スタッフと共に「color your life.自分らしい生活」をコンセプトに「リノベ不動産by菱高SDB」の立ち上げに尽力。その他、トリュフ好きが講じて友人達と共に伊崎屋半兵衛「西洋松露 トリュフ煎餅」を開発、販売。最後の晩餐は、杜氏の奥様お手製の酒粕入りハヤシライス。味もボリュームも大満足。黒毛和牛からエゾシカまで、絶妙の火入れに唸る渾身の肉料理週の大半は外食という小川さん。友人や会社の仲間とよく訪れるお薦めの一軒が、地下鉄丸太町駅から数分の場所にある「HUNTER」だ。2017年にオープンするや、おいしい肉料理を出す店として、たちまち評判を呼んだ。御所南という場所柄、常連には企業経営者も少なくない。「ここは肉の火入れが秀逸なので、肉が食べたい時に行きます。自宅から徒歩圏内ということで、多い時は週2回程利用します。店主の今井さんの人柄がいいし会話も楽しくて、忙しくなる前の早めの時間に行っています」(小川さん)もともと肉好きという小川さんだが、この店との出合いは偶然だった。「青年会議所活動の帰り、友人たちと普段通らない道を歩いていた時に偶然前を通りがかったんです。何の予備知識もなく入ったのですが、頼んだ料理はどれもおいしいし、今井さんとは同い年で共通の友人も多いことがわかって話が盛り上がり、それから通うようになりました。一緒に行った人は皆喜んでくれます」元は倉庫だったという店内は、カウンターを中心に20席ほど。木材を多用した造りに、厨房のカラフルな迷彩柄や壁のイラストが楽しい。店主の今井良太さんはここをアルバイトスタッフと2人で切り盛りしている。「小川さんが最初に来られたのはオープンしてすぐの頃。遅い時間に来られてめちゃくちゃ食べはりました(笑)。それからちょくちょく来てくださるようになって。食べることがお好きなのでおいしいお店の情報交換をしたり、共通の友人の話をしたりしています。小川さんが料理を温かいうちにどんどん食べてくださるんですが、見ていて気持ちがいいですね」(今井さん)ここでは牛、豚、鶏から猪や鹿などのジビエまでさまざまな肉を扱う。祇園の「レストラン マエカワ」出身の今井さんはフレンチの技法をベースにしながらも、肉の種類や部位、肉質などに合わせて、和食や中華、エスニックなどのテイストも取り入れた料理をアラカルトで提供。豚のリエットや田舎風パテのようなものもあれば、ビーフンや餃子などが登場することも。「『マエカワ』ではコースのメインや温かい料理をやらせていただいていたので、そこで培ったものをベースに、スパイスを使うなど自分なりのやり方を加えたりしています。お肉は種類が豊富でものによっても全然違うので、その日入る肉ごとにどう調理してどう仕上げるかを考えます。特に今の時期一番面白いのはやっぱりジビエですね」と、今井さん。食材や料理の話に熱がこもる。使用する肉は信頼する大阪の業者や猟師を通して全国から入手。北海道のエゾシカなど特定のもの以外は、産地を決めずいいものがあれば仕入れるという。「今井さんの焼くことへの情熱と愛情はすごいと思います。彼が焼くところを見るのが楽しくて、いつもカウンターに座ります」(小川さん)肉を焼くのが大好きという今井さん。肉に特化した店を始めたのもそのことが大きいと話す。「この焼き加減にしたら確実にいい感じになるな、などと考えながら料理するのが面白くて。この肉やったら焼いたほうがおいしいなあとか、バターをちょっと利かせたほうがええかなとか、仕事というより趣味の延長のような感覚かもしれません(笑)」「食べやすい上に、スパイシーでお酒にも合う」と、小川さんが必ず注文するのがフランス産ウズラを使った名物の「うずらもも肉のからあげ」1200円。塩で下味をつけたウズラを揚げ、クミンやハーブをつけて仕上げる。ウズラはくせがなくジューシーで、程よい辛さにお酒が進むこと請け合い。8本がずらっと並ぶ様子もなかなかのインパクト。その日の肉によってソースが変わる「牛のロースト」4800円も、小川さんのお決まりの一品。「肉の焼き加減がとてもいい。コスパもよくていつも楽しみにしています」と、小川さん。60度の低温でじっくり加熱したあとフライパンで焼き、炭火で仕上げる。今回の肉は岩手・北上牛のイチボで、北海道の無農薬の根セロリを使ったピューレ、赤ワインソース、タスマニアのマスタードを敷き、仕上げにフランスの塩をトッピング。肉はやわらかくまろやかな味わいで、噛むと旨味がしみだしてくる。少し酸味のあるソースがよく合う。写真は小川さん用の350グラムで、通常は200グラム。鹿の角をつけたビールサーバーなど、この店らしい遊び心が見られる。小川さんが頼むのはハイボールだが、店ではワインも人気。メニューのワインのほか今井さんが集めたナチュールワインも多数ストック。「印象に残る料理を作って、食事を楽しいものにする力添えができたら」と、今井さん。そのためにも積極的にお客とのコミュニケーションを図っているそうだ。「話さないとその人の好みもわからないし、会話してその人の特徴を知れば何ができるか考えられるので」お客との対話の中からその人が喜ぶ料理を用意するという今井さんに、小川さんはじめ常連は厚い信頼を寄せる。「お客さんの顔を見てお薦めの肉を変えたりしてくれる。あの人に任せといたら何でもおいしく食べさせてもらえると思います」(小川さん)予算は飲み物代も含めて7~8千円。撮影 エディ・オオムラ 文 山本真由美■HUNTER京都市中京区東洞院通夷川下ル壺屋町533-2 武内ビル1F075-708-5566営業時間 18時~22時(LO)※水曜のみランチ営業あり(11時30分~なくなり次第終了)定休日 木曜、第3水曜※営業時間は状況により変更の場合あり。お店にお問い合わせください。
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2021.01.12
株式会社 クリーントピアぴいぷる北の社長が通う店「膳處漢(ぜぜかん)ぽっちり」
■松居 洋一(まつい よういち)さん 株式会社クリーントピアぴいぷる北 代表取締役社長1978年 京都府京都市生まれ幼少期から音楽に慣れ親しみ、学生時代から社会人にかけ、エレクトリックベースやウクレレ等の演奏業や講師業に勤しむ。26歳にて株式会社クリーントピアぴいぷる北に入社。生産管理やマネージャー職種を経験しつつ、国家資格クリーニング師免許を取得。2012年 代表取締役に就任。一般衣料品から着物、寝具類からスニーカーまで、幅広いニーズに対応した独自の洗浄技術を駆使し、「アライノチカラ エガオノチカラ」の理念のもと、地域社会の方々に爽やかな衣類を提供できるよう日々邁進中。最後の晩餐は、鮭茶漬け。昭和初期の建物のレトロな雰囲気に包まれて、本場さながらの中国料理の数々を昔から呉服や繊維関係の企業が集まる室町通。四条烏丸に近い室町錦小路界隈で、存在感を放つレトロな外観の建物が、松居さんお薦めの中国料理店「膳處漢ぽっちり」だ。全国にレストランやホテルを展開する際グループが手掛けるこの店は、2003年オープン。京都と北京の街の佇まいが良く似ていることから、ここを北京の台所に見立て、北京料理を中心としたメニューを提供している。元呉服商の建物をリノベーションした店の雰囲気や本場さながらの料理が評判を呼び、長年にわたり京都の人々に親しまれている。ちなみに「膳處漢」という名は、かつて都の御厨所があった滋賀県大津市の地名「膳所」に由来しているという。松居さんがこの店を訪れたのは、9年程前だという。「もともと仕事などで利用していた家内に薦められ、一緒に行ったのが最初です。京町家を改装された特殊な店内の造りで、接待にも使える個室やバーがあるし、メニューはリーズナブルなものから高級なものまで揃っていておいしい。今はコロナ禍で回数は減りましたが、大体年に5~6回は行っていました。他府県の同業の方々が当社に見学や打ち合わせに来られた時など、接待使いも良くしますし、以前は家族のイベントなどでも使っていました。一緒に行く人にも毎回評判がいいですね」(松居さん)松居さんが「京都の街中であれだけの広さのところはなかなかない」という建物は、昭和初期もの。元店舗部分が洋館、住居だった奥の部分が町家になっており、ほぼそのままの佇まいが残されている。ここでは、北京ダックやふかひれなどの北京料理を中心に、高級料理から点心まで多彩なメニューが、コースやアラカルトで楽しめる。とりわけ、ヨシキリザメ、モウカザメ、アオザメの3種を用意したふかひれの姿煮はお薦めだという。松居さんはいつもアラカルトを注文し、お酒と一緒に楽しむそうだ。「北京ダックやふかひれもよく頼むし、何でもおいしいですが、辛いものが好きなので特にこの2つは行くと絶対頼みます」と、松居さんがお薦めに挙げるのが、初めて来店した時からのお気に入りだという「ぶつ切り鶏の四川風唐辛子炒め(辣子鶏)」1800円と「四川麻婆豆腐」1600円。 写真の「ぶつ切り鶏の四川風唐辛子炒め」は、鶏の唐揚げを2種の唐辛子と炒め、唐辛子ごと豪快に盛り付けた四川の人気料理。ニンニク、ショウガ、豆板醤、醤油で下味をつけた唐揚げを、山椒と唐辛子などの香りを移した油と絡め、ふっくら柔らかく仕上げている。しっかり旨味が感じられる重層的な味わいの中にじわじわと辛さが利いてくる。「辛いけど、美味い。お酒が進みます」(松居さん)もう一つのお薦め「四川麻婆豆腐」は、牛挽肉を使用したランチでも好評のメニュー。「こちらも辛くて、お酒のアテにもご飯にもよく合う。汗をだらだらかきながら食べています」(松居さん)2種の豆板醤、豆鼓、ニンニク、ショウガなどの香味野菜や漬物などの辛味と風味、肉の旨味からくるまろやかさが絶妙に合わさり、おいしい。濃厚でありながら、意外としつこく感じない。ここの料理は味にメリハリがあるのが特徴だが、それでいてくどくならないよう、いかにうまく油を使うかということに気を付けていると、料理長の花田伸介さんは話す。「調味料を足していくことは簡単ですが、それではだんだん食べていてしんどくなる。うちは油を多めに使いますが、調味料は最小限に抑え、香辛料や肉などの香り、旨味を油に移して味に深みを出すようにしています」「大体いつも5~6人が入れる個室を予約します。入口のところにソファスペースがあって、会食なら後から来る人をそこで待っていてもいいし、先に個室に行ってもかまわない。そういうシステムも気に入っています」(松居さん)200人程を収容できる店内は、庭を望むテーブル席から座敷を含む異なる趣の個室まで、さまざまなシチュエーションに対応。重厚な雰囲気の待合スペースを備えるなど、大切な人との食事に適した造りになっている。地元サラリーマンから家族連れ、観光客まで、客層は幅広く、松居さんのように接待での利用も多いという。松居さんも時々食後に利用するという蔵を改装したバースペース「ぽっちり」。現在は休業中だが、食事からの流れで一杯飲める使い勝手の良さも好評。松居さんは、店を選ぶ際、味、雰囲気、マナーの3つを基準にしているという。「やっぱり味だけじゃなくて、いかに気分よく店を出られるかが大事。その点で『膳處漢』さんは、味はもちろん、建物の雰囲気もいいし、マナーや気配りが行き届いていて、必要な時に来てくれる距離感もいい。だからずっと通っているんだと思います」(松居さん)松居さんの言葉に、「お褒めの言葉をいただけるのは、とてもありがたいです」と店長の尾﨑剛さん。「ここに来られるお客様は千差万別なので、それに臨機応変に対応できるようにしています。また、マナーとともに、常に必要な時にパッと手が届くということも、私たちが目指しているところ。皆、一つでも喜んで帰っていただけるようにという思いで接客しています。これからも、『膳處漢』に来れば間違いない、絶対おいしい、絶対楽しめると思っていただける店でありたいですね」予算は昼3000円、夜1万円程度。撮影 エディ・オオムラ 文 山本真由美■膳處漢ぽっちり京都市中京区錦小路通り室町西入ル天神山町283-2075-257-5766営業時間 11時30分~15時(LO14時)、17時~22時30分(LO21時30分)定休日 無休https://kiwa-group.co.jp/zezekan/※営業時間は状況により変更の場合あり。お店にお問い合わせください。
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2020.12.11
株式会社 豊岡建築設計工房の社長が通う店「焼肉SEVEN(セブン)」
■豊岡 大策(とよおか だいさく)さん 株式会社豊岡建築設計工房 代表取締役1977年大阪府高槻市生まれ京都産業大学経済学部卒業/京都建築専門学校建築科卒業清水建築設計工房を経て、2010年 独立し豊岡建築設計工房を設立2011年 一級建築士取得2020年 株式会社豊岡建築設計工房に組織変更[資格]・一級建築士 第343754号・JSHI公認ホームインスペクター・福祉住環境コーディネーター2級・地震被災建築物応急危険度判定士 最後の晩餐は、阪急桂駅前の焼鳥屋「夢叶」のおにぎり。活気ある店内で心地よい時間を。黒毛和牛の焼肉をリーズナブルに楽しめると評判の一軒JR梅小路京都西駅周辺は、ホテルや複合施設などが新たにできるなど今注目のエリア。そこから西、商店街が連なる七条通沿いの一角にあるのが、豊岡さんが推薦する「焼肉SEVEN」だ。店主の山崎大輔さんが、京都市内の焼肉店勤務を経て、2015年に地元であるこの地に店をオープン。地域を象徴する「七条」にちなんだ店名には、山崎さんの地元愛が込められている。店舗は以前、小売店として使われていた物件を全面改装。「お客様と僕や従業員が近い距離になれるような店がやりたかった」と山崎さん。あえてカウンター席を設けたのもそのためだという。女性や家族連れも入りやすい町家風の落ち着いた空間で、おいしい焼肉がリーズナブルに味わえるとあって、地元や近隣の人々を中心にファンを獲得。週末は予約ですぐ埋まってしまうほどの人気ぶりだ。豊岡さんは約2年前から、毎月2回ほどのペースで通っているという。「仕事などでよく七条通を通っていて、気になる焼肉屋さんだなと思っていたんです。焼肉が好きでいろんな店に行っていたので、一回入ってみようと、ふらっと入った感じです。そしたら、すごくおいしくて、コストパフォーマンスも高い。高級な焼肉屋さんも行きますけど、友人や仕事仲間と気軽に行ける普段使いの店として、今一番気に入っているお店です」(豊岡さん)「大体友達や後輩と2、3人で行って、カウンターで食べています。オーナーさんが肉を切ったり、アルバイトの子に指示したりしている様子を見ながら食べるのが結構好きなので。お店の雰囲気もわかるし、そういう楽しさもあって通っています。焼き肉の店を聞かれるとここを紹介することが多いですね」(豊岡さん) 「ありがたいですね。豊岡さんは予約の時からカウンターでいいですよって、言ってくださるんです。土日に来られることが多く、お友達とお気に入りのメニューを食べて帰られます」(山崎さん)ここで使用する肉は、黒毛和牛のA5、A4ランクのもの。山崎さんは、特に産地は決めず、自分の目で確かめたものを安く提供できるように、日頃から仕入れ業者とコミュニケーションをとって関係を構築しているという。「いつもはハイボールと、厚切りタンと赤身の三種盛り、それから生ハツをお願いして、あとはお腹の具合でいろいろ違うものを頼みます」(豊岡さん) 厚さ1.5センチはある豊岡さんお薦めの「厚切りタン」1380円は、タン元の部分のみを使っているため、厚くても柔らかく、食べやすい。お薦めの焼き加減はレア。1分程度焼くといいそうだ。薬味は、ネギ、レモン、おろしショウガが付く。「ジューシーでとてもおいしい。ネギとショウガであっさり食べられます」(豊岡さん)もう一つのお気に入り、その日のお薦めが入った「赤身の三種盛り」1980円。写真はクラシタロース、ざぶとん、三角カルビの3種で、日によりイチボやラムシンになるなど、内容は変わる。赤身の味付けは塩かたれを選べる。「たれもおいしいんですが、お肉の味がしっかりしているので、いつも塩で食べています」と、豊岡さん。焼いた肉に刻みわさびの醤油漬けをのせて味わうという。普通のわさびとは違ったぴりりと強い刺激が、赤身の濃厚な味わいとマッチする。ちなみにたれ焼きは、そのまま味わうほか、いろいろな果実を使ったスタンダードなたれと、酸味のあるさっぱりだれの2種の自家製つけだれで楽しんでも。特にさっぱりタイプのたれは、女性に好評だ。「肉はオーダーが入ってから切っていますので、小さいお子様には薄めに、厚めがお好みのお客様には厚めになど、オーダーカットにも臨機応変に対応しています」と、山崎さん。 その他メニューでは、ロース、ラムシン、イチボ、お得な「タンの三種盛り」、ユッケ、ユッケジャンスープなども人気。また、ヤンニョムを多めに漬け込んだ自家製キムチも定番で、お酒をあまり飲まない豊岡さんは、キムチの三種盛りと白ご飯も必ず頼むそうだ。「いいものを安く提供して、当たり前の接客をする。それができれば、お客様は来てくださると思うんです。居心地の良い空間を作ってあげられるように、そのお客様が何を求めているかを察して対応するようにしています」と、山崎さん。忙しくて自ら表まで行けなくとも挨拶の言葉は欠かさず、来店したことのあるお客であれば、「また来てくださったんですね。ありがとうございます」などと声をかけたり、会話の少ない席なら場を温めるような接客をしたり。そうしたちょっとしたことを怠らないよう心がけているという。 普段は新しい店を開拓して行くことが多いという豊岡さんが、ずっと通い続けているのも、ほかにはない心地良さがあってこそだ。「セブンさんはいつも活気があって、居心地がいい。オーナーさんがお客さん全員に絶えず目を配っておられるし、スタッフの子たちもちゃんと気遣いができて、気持ちいい接客をしてくれます。一緒に連れて行く人も皆、その居心地の良さは共感してくれていると思います」(豊岡さん)予算は4500円ほど。早めの予約がお薦めだ。撮影 エディ・オオムラ 文 山本真由美■焼肉SEVEN京都市下京区西七条北東野町11075-313-8429営業時間 平日17時~23時(LO22時30分) 土日祝16時~23時(LO22時30分)定休日 不定休https://yakinikuseven.owst.jp/
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2020.11.23
株式会社鈴木松風堂の社長が通う店「由兵衛(よしべえ)」
■鈴木 裕(すずき ゆたか)さん 1976年生まれ 京都生まれの京都育ち。1999年に鈴木松風堂へ入社し営業部へ所属。2012年常務取締役を経て2018年に5代目代表取締役社長に就任する。幼少期に学んだ少林寺拳法の創始者の教え「すべては人の質にある」を企業理念とし、初代からつづく紙管の製造販売や先代たちから受け継いだ紙容器の企画・製造販売、和紙雑貨事業の継承と改革に取り組む。人手不足の解消に人材協同組合を設立、社内物流の改善とともに新たに運送事業を展開している。 最後の晩餐は、家で家族と食べるしゃぶしゃぶ。世代を継いで愛される鱧・ふぐ料理が自慢の割烹。京都の風情の中で温かなもてなしを四条大橋の西に、西石垣(さいせき)通という短い小路がある。江戸時代、鴨川西岸に築かれた石垣の堤防を西石垣と呼んだのが名前の由来とされ、今は大分様変わりしたものの、京都らしさを感じさせる一角となっている。この中の一軒に、鈴木さんが通う老舗の割烹「由兵衛」がある。「夏の鱧と冬のふぐがメインですが、単品で季節の魚も出してくれるので魚が食べたい時は行くお店です。おいしくて雰囲気もいいので、接待などで使うほか、社員を連れて行ったり、友達や家族と行ったり、月に1度は利用しています。大将をはじめ大女将や若女将とも仲良くさせてもらっています」(鈴木さん)「由兵衛」は昭和10年創業。3代目主人の仲井雅之さんの祖父が一条戻り橋で仕出し屋を始め、昭和20年に今の場所へ。昭和30年代にふぐを扱うようになるまでは、すき焼きやうどんなどの定食を提供していたという。「まだ食材がない時代で、あるものでお客様に喜んでもらうというのが祖父の考えだったようです」(仲井さん)そして、父・芳信さんの代で、ふぐ・鱧料理を中心に筍、若鮎、松茸など季節の京料理を出すかたちになったが、初代の「お客様に喜んでいただくことが一番」との思いは今も引き継がれている。築100年以上の建物は、1階はカウンターに、小さなテーブルと小部屋、2階は大中小の部屋を備える。数寄屋造りの趣ある部屋は、大切な人との会食や接待などにもお薦めだ。鈴木さんとこの店との出合いは、12~13年前のことだという。「なじみの祇園のバーで、隣に座った大将と知り合い、お店に行くようになりました。実は祖父母が初見合いをしたのがここで、僕も小さい頃、連れられて行ったことがあったようです」(鈴木さん) 「鈴木さんは共通の友人も多く親しくさせていただいています。おばあさんたちが来られたのは初代の頃ですが、ご縁を感じます。僕のほうが年上ですが、話をしていても教えてもらうことが多く、同じ経営者としても刺激を受けています」(仲井さん)鈴木さんがよく利用するという2階奥の茶室風の小部屋。「仕事の商談など、少人数で真剣に話をするのにちょうどよい距離感で使いやすい。この部屋も気に入っている理由の一つです」(鈴木さん)新鮮で良質な素材をシンプルに活かした人気のふぐ・鱧料理。鱧は淡路島産、トラフグは下関や安乗などでとれた天然ものを吟味して仕入れる。「ふぐは骨回りがおいしい魚なので、骨がかちっとした2.5キロくらいのものを選んでいます」(仲井さん)ふぐ・鱧、京会席などのコースのほか、季節の一品もさまざま揃う。鈴木さんは酒のアテを多めに、コースにならった流れで料理を出してもらうそうだ。 鈴木さんの一番のお薦めは「鱧しゃぶ」(写真は12000円のコースより)。「いろんなところで鱧しゃぶを食べますが、ここはダントツだと思います。だしも骨から丁寧にとっていて本当においしい。連れて行った人にも好評で、シーズンになると皆行きたがります」(鈴木さん)「だしで食べていただきたいと考えているので、だしには特に気を遣っています」と、仲井さん。鱧のアラを炭火で焼いて煮出し、鰹節、鯖節、玉ねぎを加えてとった鱧しゃぶのだしは、クリアかつ余韻が残る味わいで、飲み干したくなるほど。淡白な鱧や京野菜、生麩などの具をバランスよく引き立てる。お好みで柚子胡椒を加えてもおいしい。鱧しゃぶの後には雑炊かにゅうめんを楽しめる。「希望される方にはハーフサイズで両方お出しすることもできます」と、若女将の尚子さん。12000円の鱧しゃぶコースに付く鈴木さんお薦めの「造り」。淡路の天然鯛、塩釜の中トロ、淡路の鱧の焼霜などの定番に、長崎の車エビなどその時々の鮮魚が盛り込まれる。これからの季節はやはりふぐ。特に白子炭火焼や焼きふぐが人気で、鈴木さんも鍋と共にお気に入りだという。自慢の「焼きふぐ」は、試行錯誤を重ねてできた自家製ポン酢とたまり醤油をブレンドし、山椒や七味を加えたたれで味付けしている。香ばしく、ふっくらと焼いた肉厚の身は、味わい深く、程よい酸味が重さを感じさせない。弾力のある皮の食感もたまらない。12500円からの天然活ふぐコースや単品で楽しめる。日本酒は、桃の滴、玉乃光、城陽などの京都の地酒のほか、十四代、〆張鶴など全国の人気銘柄も揃える。お酒が好きで、何を飲みたいかで店を決めるという鈴木さん。ここではいつも富山の「立山」を楽しむそうだ。京都の人々に長く愛されてきた同店。その家庭的な雰囲気に惹かれて通うファンも多い。「接客を担当する若女将は笑顔が素敵なべっぴんの奥さんで、すごく明るくて話しやすいのがいい」と、鈴木さん。その言葉に、「ありがとうございます。何差し上げよう(笑)」と、尚子さん。もてなしについては、部屋ごとにお客の雰囲気も異なるため、その場に合わせた対応を心がけていると話す。「鈴木さんのお部屋は明るく朗らかな感じ。私も楽しい雰囲気になるようお話をさせていただいています」鈴木さんは、京都の店の魅力は、「一度仲良くなれば、何回でも会いに行きたくなる雰囲気があるところ」だという。この店もまさしくそんな一軒といえる。予算は昼4000円、夜1万円くらいから。撮影 エディ・オオムラ 文 山本真由美■由兵衛京都市下京区西石垣通四条南入075-351-1053営業時間 12時~14時、17時~22時(LO)定休日 月2回不定休http://yoshibe.com/
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BLOG京の会長&社長めし
2020.10.09
株式会社g-zoneの社長が通う店「御料理 だんじ」
■荒木 雄一朗(あらき ゆういちろう)さん 株式会社g- zone 代表取締役1976年生まれ日本体育大学卒業後、本田技研工業株式会社に入社現ラグビーTOPリーグ Honda HEATに所属2006に現役引退後、退社。その後、独立しトレーナーとして京都市内を中心に活動する。「いつまでも健康で元気に人生を送るために全ての人々をサポートする施設を作りたい」という思いで2016年株式会社g-zoneを設立キッズからシニアまでがトレーニング、治療、リハビリ、スポーツ内科学、カウンセリングを受けられる施設 g-zone Performance Center を運営最後の晩餐は、赤身のステーキをレアで。天ぷらなど季節の和食と店主セレクトの酒を満喫。美味いもん好きが通う洛北の注目店食べることが好きで、これまで海外や地方を含め、多くの飲食店を訪れてきたという荒木さん。京都のお薦めの店に挙げるのが、大徳寺近くで2018年6月にオープンした「御料理 だんじ」だ。「僕がホンダでラグビーをやっていた時の同期に京産大ラグビー部出身の人がいまして、その同期の大学の後輩が始めたお店です。彼の下積み時代に同期を通じて知り合い、彼が働いている店にもよく行っていました。僕は京都に戻って独立してから、あちこちいいお店に足を運んでいますが、ここはその中でもおいしいと思えるお店。家族や友人、仕事関係など、3、4カ月に一度くらい通っています。京都らしいお料理がリーズナブルに食べられて、いろいろ話ができる大将がいて雰囲気もいいので、地方のトレーナーさんたちとの会食にもよく利用するんですが、皆さん喜んでくださいますね」(荒木さん)大徳寺前バス停からすぐの一軒家。カウンター8席、テーブル2席のシンプルかつ落ち着いた空間で、元ラガーマンらしい堂々とした体躯の店主・入口(いりぐち)誠さんが迎える。「荒木さんとは知り合って20年くらいになります。荒木さんは昔からおいしいものをよくご存じで、器までしっかり見てくださいます。いつも明るくて前向きな方で、周りにいらっしゃる皆さんも素敵な方ばかりです」(入口さん)熊本出身の入口さんは、大学卒業後、祇園のバー勤務などを経て和食の道へ。高台寺の和食店や出町柳の京料理店「西角」で腕を磨き、小料理屋の料理長を務めた後、独立した。7年近く勤めた「西角」のように、肩ひじ張らずに和食を楽しめて、長く地元で可愛がられる店にしたかったという。毎日市場で吟味した魚介、上賀茂や大原の野菜などを用いて仕立てるのは、四季を大切にした、オーソドックスでシンプルな料理だ。「ブランドや産地を問わず、その時のおいしいものをおいしく調理してくれて、おいしい食べ方で食べさせてくれる。いつもおまかせしていますが、僕たちの満腹感に合わせて、内容もうまく調整してくれます」(荒木さん)メニューは8000円(7品)と11000円(9品)のおまかせコースのほか、馬刺しや土瓶蒸しなどの一品を揃え、季節の一品を肴に一杯を楽しむこともできる。好き嫌いやアレルギーをはじめ、さまざまな要望にも可能な限り対応している。「季節の天ぷらを揚げたてで食べられます」と、荒木さん。「西角」仕込みの「天ぷら」は、これ目当ての人も多いというお薦めの品。綿実油と白胡麻油で香ばしく揚げた天ぷらを、天日干しした伯方の塩を炒って細かくしたものや、天だしで味わう。写真はアラカルトの盛り合わせの一例で、車エビ2尾と長崎の甘鯛、銀杏。コースでは車エビと季節の魚など3種が盛られる。荒木さんもお気に入りだという入口さん自慢の蒸し物。「シンプルに素材の味を楽しめます。油を使っておらず、あっさりしているので、たくさん食べられるのがいい」(荒木さん)毎年9月後半~10月頃は、丹波栗と丹波黒豆を使った「丹波蒸し」がお目見え。粟麩にのせた丹波栗の饅頭の、やさしい甘味とほくほく感に癒される秋らしい一品で、世代や性別問わず好評だという。 「僕はお肉が大好きなんですが、彼の出すお肉はすごくおいしい。脂が上品で全然胃もたれしません」そう荒木さんが絶賛するのが、熊本赤牛や京都の平井牛などを使った「ビフテキ」で、11000円のコースにも登場する(写真はアラカルト3800円のもの)。1時間低温調理したあと、焼き目を付けた赤身肉は、旨味と脂が凝縮された豊潤な味わいがたまらない。まずわさびと一緒に、次に熊本の甘露醤油をつけてと、表情の異なる味わいが堪能できる。甘い醤油をつけたビフテキは、土鍋ご飯と一緒に味わうのもお薦め。酒は自分がおいしいと思うものを選んでいるという入口さん。日本酒は、店の料理に一番合うという久留米の「渓」をはじめ、さっぱりとした味の酒を中心に常時5~6種を揃える。「僕は和食の時はほぼ日本酒ですが、その時の食事に合ったものをピンポイントでチョイスしてくれるので、それも楽しみにしています」 そう話す荒木さんに、 「荒木さんのようにしっかりお酒とご飯を楽しまれると、こちらも楽しいですよね。荒木さんが来られる時はついお酒を買ちゃうんです(笑)」と入口さん。ここには、「西角」時代からの常連を中心に、スポーツ関係、医師、大学の先生、自営業者など、舌の肥えた人々が訪れる。「彼はその場を楽しませる会話が上手で、どのお客さんにもいつも丁寧で、気持ちがいい。料理の味はもちろんですが、そういう居心地のよさも魅力だと思います」(荒木さん)もてなしで大切にしている点について、入口さんは 「お客様の表情や仕草から、苦手なものなどに気づけるようにしたいと思っています。その一瞬を見逃さなければ、料理を食べやすくしてあげたり、ご飯の残りを持ち帰りにしてあげたりと、いろいろできると思うので」 と語る。派手ではないが、細やかな心遣いを感じる誠実なもてなしに、お客は心おきなく食事の時間に浸れ、また訪れたいと思うのだろう。予算は夜1万円程。要予約のお値打ちランチも見逃せない。これからも注目の一軒だ。撮影 エディ・オオムラ 文 山本真由美■御料理 だんじ京都市北区紫野雲林院町22075-431-2052営業時間 17時30分~22時(LO21時30分)※ランチ(水~日)は前日までの完全予約制。12時~15時(LO13時)定休日 月、火昼
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BLOG京の会長&社長めし
2020.09.25
株式会社桂窯の社長が通う店「日本料理 櫻川(さくらがわ)」
■檜垣 良多(ひがき りょうた)さん 1976年生まれ 桂窯四代目1997年 寄神崇伯、母である檜垣青子に師事し、作陶を始める2000年 京都府立陶工訓練校成形科卒2001年 京都市立工業試験場窯業科卒2001年 株式会社桂窯入社2008年 裏千家学園卒2013年 桂窯 代表取締役になる桂窯入社4年目に一旦退社し3年間、裏千家学園にて茶の湯を学ぶ。現在は茶ノ湯道具を中心に作陶に励み、各地にて個展、グループ展を開催。最後の晩餐は、ハワイにあるベトナム料理店のフォー。木屋町で長く愛されているカウンター割烹で、細やかな仕事による四季折々のコースを木屋町通の起点、木屋町二条あたりは高瀬川沿いに歴史的な景観が残り、京都らしい風情が感じられる場所。その一角に立つのが、檜垣さんお薦めの「日本料理 櫻川」。舌の肥えた京都人が通う昭和53年創業の名店で、ここ出身の有名料理人も少なくない。代々料理人が店を引き継ぐかたちで、現在は、山本智史さんがオーナー兼三代目料理長として腕を振るっている。「僕は中学生の頃から行っているんですが、清潔感のあるいいお店です。とにかく料理がおいしい。年に2、3回、家族や友人となど、プライベートで利用しています」(檜垣さん) 店内は特注の檜製のカウンターに、小さなテーブル席が一つ。タイルの壁や美しく弧を描いたカウンターも印象的だ。料理は、昼はお弁当と7000円のコース、夜は2万円のコースのみ。素材は大原、修学院の農家などから入手する京野菜、明石や瀬戸内海を中心にかつぎの魚屋から仕入れる鮮魚など、季節の味覚を吟味。代々の味を踏襲し、過度に手を加えず、素材の持ち味を引き出したシンプルな料理を身上としている。正統派の日本料理に現代的な要素も加えた献立は、長年の常連客にも好評だ。「檜垣さんはご両親が先代の料理長の時からのお客さんで、ずっと来てくださっています。今はもうお互いが(店や家業を)引き継いでやる立場になっていますね」と、山本さん。家族に連れられ店を訪れていた檜垣さんだが、本格的に通うようになったのは高校を卒業してからだという。「中学・高校の同級生の前田くん(現「前田」店主)が、うちの母の紹介で『櫻川』に入ったこともあって、よく行くようになりました。当時料理長だった広崎さん(現「食工房ひろさき」店主)や兄弟子の山本さんにもすごくお世話になりました」檜垣さん自身、陶芸の修業を始めた頃でもあり、勉強の一環として店に通っていたそうだ。「器にどう盛り付けられるのか、料理を盛ってどんな見え方がするのかに興味があり、そういうことを研究したくて、なけなしのバイト代で料亭などいろいろなお店に行きました」と、当時を振り返る。 店と檜垣さんの関係は、単に料理屋とお客の枠に留まらなかったという。「僕を気遣って、広崎さんがいろんな器を作れと導いてくださったんです。特に思い出に残っているのが鱧しゃぶの器。うちの焼き物は衝撃に弱くて割れやすい素材なんですが、火にはすごく強い。だしを沸騰させてしゃぶしゃぶができるような器がほしいと言われて作りました。今もそれを定番メニューで出されています」(檜垣さん) この檜垣さんの器を使った一人用の「鱧しゃぶ」は、夏から初秋のコースに登場する人気の品。毎年これ目当てにたくさんの常連が訪れるそうだ。だしを張った器を熱し、煮立った状態で提供する。「うちとしては温かいおだしで鱧しゃぶをしてもらうので、器が熱を保つようにしてほしいわけです。それを檜垣さんにいろいろ試行錯誤してもらい、直火にかけて温められるような器を桂窯さんの楽焼の釉薬を使って作ってもらいました。この料理はこの器ができたから完成したといえます」と、山本さん。 檜垣さんもお薦めの「鱧しゃぶ」は、新玉ねぎの風味を利かせた特製だしに、淡路島産の鱧をくぐらせ、すだちを搾って味わう。檜垣さんが手掛けただしの器は、土鍋のように一旦温まれば余熱が持続するという。鱧を食べたら鱧のうま味や脂が溶け込んだだしを最後に堪能する。檜垣さんが更にお薦めの料理として挙げたのが椀物。「料理人の味は、だしに集約されている気がするんです。山本さんはものすごく真面目な人で、それが椀物のおいしさに現れていると思います」写真は9月の夜のコースの一例より、松茸や三度豆、柚子をあしらった「毛ガニのしんじょう」。ベースとなるのは利尻昆布と鹿児島産鰹を使った伝統のだし。鰹節を削ってだしをとり、香り高くバランスのいい味わいに仕立てている。 供される料理の器も楽しみの一つ。代々の料理長によって集められたさまざまな器には、名だたる作家の作品が見られる。日本酒は、料理に相性良しの酒が幅広く揃う。「お酒は山本さんがお薦めを選んで出してくれるんですが、どれも食事を邪魔しないお酒で美味いですね」(檜垣さん)「山本さんは根っからの板前でとても丁寧な仕事をされるので、食べていて安心感があるというか、ただただ美味いという感じです。京都で一番丁寧なカウンター割烹かもしれません」と、檜垣さんは「櫻川」の魅力を語る。その言葉に、「ありがとうございます。私としてはそれしかないので(笑)、そこを守りながらやっています」と、山本さん。そんな実直で丁寧な仕事ぶりは、もてなしにおいても同様だ。「お客さんが求められるものに対して、できる限りお応えしていきたいという思いでいます。カウンターなので、この食材はこうして食べたいと言われたら、コースでも臨機応変に対応しています。常連さんは皆そんな感じなので、常連さんばかりになると大変ですが(笑)、それが言えるお店があるとうれしいかなと思うので」予算は、昼5000円から、夜は25000円程度。撮影 エディ・オオムラ 文 山本真由美■日本料理 櫻川京都市中京区木屋町通二条下る上樵木町491075-255-447712時~14時(LO13時)、18時~22時(LO20時)休 日http://www.kyoto-sakuragawa.jp/
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