BLOG京の会長&社長めし2019.01.07

ロマンライフの社長が通う店「ぎをん 竹茂(ちくも)」

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■河内 誠(かわうち まこと)さん

株式会社ロマンライフ 代表取締役社長
958年京都府生まれ。父・河内誠一氏が1951年に開店した「純喫茶ロマン」を始まりに多角経営が進む。24歳のときロマンライフに入社。事業の方向転換を模索するなか、自身の発案で北山に洋菓子店「京都北山 マールブランシュ」をオープン。洋菓子の製造・販売、レストラン事業と展開していく。お濃茶ラングドシャ「茶の菓」は、京土産の定番として愛されている。

注文票をつけるのも楽しい、美食家たち絶賛の「串鉄板焼き」

「経営者仲間や百貨店のバイヤーの方は毎日の接待で、美食を知り尽くしています。そんな口が肥えた方をお連れすると、みなさん口をそろえて絶賛される――それが『ぎをん 竹茂』さんです」

観光客でにぎわう花見小路を東へ入ると、とたんに人混みが途切れる。その一角にのれんを掲げる竹茂は「串鉄板焼き・季節逸品料理」をうたっている。「串鉄板焼き」とは聞きなれない言葉だが、果たして......?

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81歳になる初代の盛田育宏さんは、大阪ミナミで流行していた"くわ焼き"からヒントを得て、1975年に今の丸井の裏手でお店を始められました。くわ焼きとは、もともとは農作業の合間にくわの上で肉や野菜を焼いたことが始まりですが、盛田さんがご覧になったのは、鉄板で焼いた食材をくわでギュッと上から押すスタイル。それをアレンジされて、1.5㎏ある特注のステンレス製の重しで串にさした食材をプレスします。そうすることで、食材のうまみが全体にゆきわたります」

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大阪では練り物が主だったそうだが、竹茂では鶏ねぎ、ホソ、ホタテ、しゅうまい(!)、椎茸、ズッキーニ、ラザニア(!)――肉、野菜、魚介、そしてオリジナルの串を毎日40種類前後用意している。

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「盛田さんのご実家は染物屋で、呉服屋に奉公されていたとか。小さいころから美味しいものを召し上がってきたので、食材の目利きが素晴らしいんです。美食を知り尽くしている人こそ、このお店の価値がわかるというのは、そういう点にもあるんです」

盛田さんは「お客様に提供している肉、野菜、魚介などすべて、どこで、だれが作っているのか把握しています。八百屋や肉屋まかせにはしません。ちょっとでも味が落ちれば、すぐに文句を言っちゃう(笑)」と胸を張る。

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豊富な串の種類に目移りするが、河内さん必食のひとつが「牛肉(ランプ)」。

「使用するのはA5ランクの京都牛を中心とした黒毛和牛。自家製の熟成タレはニンニクと味噌が香ばしく、肉はするっ、ふわっと口の中でとろけます」

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「芸舞妓さんも大好きな、お店一番人気の『カナッペ』は、私も外せません。食パンの上に、エビと玉ねぎを中心とした8種類の素材をブレンドしたソースを塗り、オリーブオイルで表裏を焼き付けます。カリッとした食感が心地よく、ほんのり甘いソースが絶妙です」

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「私の世代ですと『赤ウィンナー』も懐かしいですね。形がタコではなくカニです(笑)。このウィンナーも、ただものではありません。盛田さんが"これでなければ"と、石川県の天狗ハムからわざわざ取り寄せているポークウィンナーなんです。

『海老マヨ』の串とは珍しいですよね。オーストラリア産の天然の車海老を使用し、自家製のマヨネーズで仕上げています。濃厚な卵の味が海老の旨みと絡みあい、中華というよりフレンチのようにも感じます。『海老チリ』がある時もあるんですよ」

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「薬味は唐辛子、山椒、七味が用意されていますが、極上の素材に、その味を最大限に引き出す自家製タレやソースなどで味付けされているので必要ないほどです。私もたまに山椒をつけるくらいです。もし薬味を使われる場合は、お皿に少し出して串につけてください。匙で上から振るとかかりすぎて、せっかくの串の味が損なわれてしまいます」

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「季節の逸品料理もいつも充実しています。盛田さんの選んだ素材ですから、魚料理も肉料理もどちらも頼みます。夏にはカツオのたたき、冬はてっさ......」

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「肉料理なら『ミスジの炙り』。こちらも串と同じA5ランクの黒毛和牛で、肩の付け根である希少部位のミスジを炙り、自家製のニンニク醤油とポン酢を合わせたタレでいただきます」

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「私はいつも、注文を取る担当なんです。『牛肉食べたい人は?』『カナッペは?』『アスパラは?』と声をかけ、手の上がった人数分を注文票に書き入れていきます。どんどん正の字が増えていくのが嬉しくて、楽しくて(笑)」

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河内さんが竹茂に通いだしたのは、25年近く前にさかのぼる。

「裏千家家元の千宗室さんに連れてきていただきました。こちらへは1996年に移転されたので、その前の祇園の別の場所にあった頃からのお付き合いです。盛田さん(写真中央)の素材への造詣の深さ、多様な串の魅力はもちろん、お客様の感じがとてもよいところにも魅力を感じます。飲んで乱れるようなことはなく、会話と料理を純粋に楽しんでいる方ばかりです。そしてリーズナブル。まさに京都の隠れ家です」

おまかせコースは串12種・小鉢5000円(税サ別)、串10種・小鉢・お造りか肉料理・ご飯もの70009000円。河内さんはいつもアラカルトで注文するが、「初来訪の方でしたら、まずはコースで自分の好きな串を見つけてください」と、2代目の盛田雅博さん(写真左)はお薦めする。

「どのコースでも、まず最初に牛肉、そしてキャベツ巻きをお出しします。『ひと串目から牛肉は重い』と思われるかもしれませんが、そのお気持ちを変える自信のある串です。キャベツもシンプルだからこそ、竹茂がどういう店なのかをわかっていただけると思います。そのあとはご注文されたお酒の種類や進み具合を拝見しながら、お客様に合わせた串をお出ししていきます」(雅博さん)

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初代の盛田育宏さんは厨房からは退き、毎日6時間かかる仕込みや調理は息子の雅博さんと20年来お二人を支える高橋享平さん(人物写真右)が切り盛りする。しかし、黒豆とちりめん山椒は、今でも盛田さん自らが作っている。

「丹波篠山の黒豆と、高知のちりめんを使っています。黒豆は寸胴で2日間じっくり炊くので、圧力鍋で炊いたものと違い柔らかすぎず、豆のほどよい食感が残っています。『黒豆を食べた』という充実感が圧倒的にあるでしょう。ちりめん山椒はご飯にのせると、何杯でも食べられるとみなさんおっしゃいます。この2品は、河内さんは必ずお土産にされます」(盛田さん)

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店内へは靴を脱いで上がるスタイル。部屋に入ればまず目に飛び込んでくるのは、カウンターのケースにずらりと並ぶネタの数々。「どれを食べようか」と心が躍る。

「友人と二人ならカウンター、家族や人数が多ければ小上がり、接待なら個室と使い分けできるのがありがたいです」

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「竹茂さんはヘビーローテーションで訪れる大切なお店です。年に8回ほどは行っています。家族や友人、接待でも気心の知れた方を『ちょっとご飯に行こか』とカジュアルに誘って、みんなが喜んでくれる。調理から離れたとはいえ、盛田さんはいつもカウンターの奥に座っていらっしゃるので、お話しできるのも嬉しいですね。こんな素敵なお店はなかなかありません」

撮影 菊地佳那  文 竹中式子

■ ぎをん 竹茂

京都市東山区祇園町南側八坂町570
075-561-5630
17:30~22:00(最終入店21:00、L.O.21:30)
定休日 日曜
http://www.gion-chikumo.jp/

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