BLOG京の会長&社長めし2019.09.11

川崎機械工業株式会社の社長が通う店「割烹 いがらし」

京都にある会社の会長&社長は、どんな店でどんな料理を食べているのでしょうか? 彼らが通う一見さんお断りの超高級店から大衆店までご紹介する【京の会長&社長めし】。今回は川崎機械工業株式会社 社長の林 誠一郎さんが通う店、祇園町にある「割烹 いがらし」です。

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■林誠一郎(はやし せいいちろう)さん

1971年京都市生まれ。航空機などの歯車や部品製造を手掛ける川崎機械工業(株)代表取締役社長。在日フランス商工会議所アンバサダー、オハイオ州立大学歯車研究所スポンサー、同志社大学アートインビジネス研究会研究委員など数々の肩書をもつ。蒔絵作家、浅井康宏のスポンサー。空手初段、テコンドー3段、ボクシング歴5年という肉体派でもある。2017年夏は、ご子息が祇園祭長刀鉾の稚児を務めた。外食は週4回。最後の晩餐は、マルゲリータピザと赤ワイン。

使い勝手の良さに、家族的な雰囲気も魅力の花街のカウンター割烹

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京都の飲食店の中で、親子2代、3代で愛されているところは少なくないが、林さんが通う祇園の「割烹 いがらし」も、そんな一軒といえる。四条花見小路から一本南の通りを少し東へ入った場所にあるこの店は、京都の「浜作」で長く料理長を務めた五十嵐克己さんが、昭和54年(1979)に創業。季節のうまいものを食べさせるカウンター割烹として、京都の旦那衆や花街の人々に親しまれている。現在は若主人の五十嵐正記さん、姉の五十嵐由記さんが中心となって、家族で切り盛りしている。

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「弊社の創業者である父、林俊三が愛したお店です。父はカウンターが好きで、そこにお客さんをお招きして、たまに芸妓さんなどを呼んだりしながら、二次会へ行くというような流れでした。私がこちらに通うようになったのは、父の会社に入って、お客様の接待に同席するかたちで行かせてもらったのが最初です。私と同い年の若大将の正記さんとお姉さんで若女将の由記さんとは、懇意にさせていただいおり、一緒に飲みに行くことも多いです」と、林さん。

それを受けて、

「林さんのお父様は、店主であるうちの父が前の店で料理長をしていた頃からの一番古いお客様で、開店からずっと来ていただいています。そのお父様が海外から戻られた林さんを連れてお見えになって。林さんが会社を継がれてからは、お父様のようにお客様とご一緒にいらっしゃっています。すごくお話好きな方で、歳がほぼ同じということもあり、私もお友達のように楽しくお話しさせていただいていますね」と、由記さんは言う。

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ここでは、中央市場から仕入れる瀬戸内海や若狭の鮮魚、京野菜など、旬の素材を中心にした一品料理と、1万円からのコースが用意されている。一品とコースの内容は異なるが、好みの一品をコースに組み込むことも可能だ。食材の食べ方を相談しながら注文する割烹ならではのスタイルは、初めて訪れた林さんには、かなり印象深かったようだ。

「目の前でもろこを一匹ずつ網で焼いて出すなど、吟味した食材をシンプルに食べさせるような料理がすごく新鮮で、お客さんのことをすっかり忘れてその食べ物のとりこになったことを覚えています。私は大学から12年間アメリカにいて和食らしい和食は食べてこなかったので、衝撃を受けました」(林さん)

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一品は週替わりの季節の献立に加え、定番メニューとしてからすみ、ふなずしといった酒肴が並ぶ。「黒龍」などの日本酒を頼むことが多いと言う林さんのお気に入りは、ミンククジラを使用したくじらベーコン。ミョウガなどと一緒に辛子や醤油につけて味わう。「どれもおいしいですが、くじらベーコンはあったら頼んでしまいます。脂もしつこくなくて、日本酒のアテに最高なんですよ」(林さん)

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「パリッとして甘味があって、おいしいですよ。ちょっと塩をつけて食べると、たまりません」と、林さんがおすすめする「海老コーンのかき揚げ」は、毎年初夏~9月頃まで楽しめる人気の一品。生のコーンにアスパラを混ぜて白絞油に入れ、上に海老をのせて揚げているといい、軽い食感で、素材のおいしさがシンプルに伝わる。「うちは揚げ物もよく出ます。芸妓さんとか、油物がお好きな方が多いですね」と、正記さん。秋は鱧や松茸のフライなども登場する。

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若狭産ぐじを使った焼き色も美しい「ぐじ焼き」。油をかけて焼いたうろこはパリパリと香ばしく、ふっくらとした身は甘みのある独特の味わいが楽しめる。

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正記さんは、神奈川の茶懐石の店や大阪・淀屋橋の「つるや」、新地の割烹などで経験を積んだ後、実家に戻ったという。「うちは親父も大阪で修業していたし、どちらかと言えば、少し濃いめで大阪寄りの味かもしれません。一品料理がメインなので、あまり手の込んだことはしていません。飾りつけもあまりしないので見た目は派手ではないですけど、僕はごちゃごちゃしたものより好きですね。この頃コース料理の割烹が多くなってきましたが、うちは一品を残していきたいと思っています」(正記さん)

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姉の由記さんはソムリエの資格を持っており、彼女がセレクトしたワインと和食を楽しむ客も多い。「もともと日本酒やワインが好きで、友人に誘われて一緒に資格取得の教室に通い始めたのがきっかけです。以前、林さんがフランスの企業のご接待にうちの座敷を使ってくださったのですが、私に日仏のワインのアレンジを頼まれて。そのときのお食事がお客様の印象に残っていたらしく、それがもとではないですけど、その企業との提携話がうまくいったということがあったんです。それ以来、ワインやフランス関係のことがあると、私に声をかけていただいたりして、親しくお話しするようになりましたね」(由記さん)

店にはフランスを中心に、ドイツ、オーストリア、日本など、常時約50種のワインを揃えており、毎回テーマを決めてワインと料理を楽しむワイン会も不定期で行っているという。

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林さんは、接待など大勢で訪れる際は奥の座敷でコース、一人や友人たちと一緒の場合はカウンターで一品を楽しむといい、「総会などの立食パーティーがあって、名刺交換ばかりで食べられないときなんかは、一人で行って食べたいものを出してもらうことが多いです。いろいろわがままを聞いてくれて、こちらの調子に合わせて料理を出してくれたりするので、お母さんに甘えるような感じで過ごしています。雰囲気もアットホームな感じで、お客同士が知り合いになることもありますね」と、この店の魅力について語る。

「林さんに限らず、お腹すいたし何か食べさせて、と言って来られる常連の方は多いですね。うちは花街にある店なので、お茶屋さんや芸舞妓さんたちのご要望に合わせた対応を日常的にしていますし、使い方を知っていただいている方には扱いやすいのではないでしょうか。上手に使って楽しんでいただけたらと思います」と、由記さん。

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ここにはふらりと訪れる一人客も多いという。おいしい料理や選りすぐりの酒、そしていつ訪れても楽しく過ごさせてくれる懐の深さが、多くの常連たちに愛されている所以なのだろう。

撮影 瀧本加奈子  文 山本真由美

■割烹 いがらし

京都市東山区祇園町南側570-125
075-525-1734
17時~21時(LO)※昼は前日までの予約のみ受付(2名以上)
休 日曜(土~月の3連休の場合は不定休)※夜は予約が望ましい

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