BLOG京の会長&社長めし2019.11.12

宮崎木材工業株式会社の社長が通う店「有恒」

京都にある会社の会長&社長は、どんな店でどんな料理を食べているのでしょうか? 彼らが通う一見さんお断りの超高級店から大衆店までご紹介する【京の会長&社長めし】。今回は宮崎木材工業株式会社社長の宮﨑真里子さんが通う店、「有恒(ありつね)」です。

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■宮﨑真里子(みやざき まりこ)さん

株式会社宮崎(夷川通の家具の小売)、宮崎木材工業株式会社(木材の内装会社)代表取締役。京都生まれの京都育ち。紆余曲折があって創業163年の家業を継ぐことになった。伝統的な京指物の技術を守りながら時を経て美しさを増す木材の空間を伏見の自社工場から日本各地だけでなく海外へもお届けしている。お茶室、能舞台の移設や家具の修理にも力を入れている。
趣味は美術館めぐり、そして仕事柄、美しい空間を見ること。新しい最先端の空間だけでなく年月を経てさらに美しさを増す上質な建物をなるべく多く見て仕事にいかしていきたい。
元気なのが取り柄で秘訣は一杯食べて飲むこと。色々な人に会うのが好きで、楽しく飲むのが鉄則。自宅ではお酒を飲まない。最後の晩餐は、麺が柔らかくて、おだしの利いた京都のきつねうどん。

人気の八寸からライブ感ある炭火焼、シメのご飯まで、多彩な味を町家の風情と

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週の半分は外食という宮﨑さん。ホテルでの会合後にフレンチのフルコースが出ることも多いため、普段は主に和食の店を選ぶそうだ。今回宮﨑さんが薦める「有恒」も、そんなお気に入りの和食店の一つだ。

寺町通から二条通を少し西へ入った場所に、ひっそりと立つ一軒家。ここは祇園にある日本料理店「迦陵」の姉妹店として、2015年8月にオープンした。

「昔からの知人が『迦陵』という和食のお店をしているんですが、弟さんも料理人で新しくお店を出されたということで、知人に連れられて仲間と一緒に行かせてもらったんです。家からも近いし、すごく気に入りました。京都の町家一軒をきれいにお店にされていて本当に京都らしいですし、東京の方にも喜ばれると思います」(宮﨑さん)

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店内は町家の細長い造りを生かした空間で、焼き炉のある厨房を囲むカウンターが目を引く。1階奥や2階には小さな個室もあるが、宮﨑さんは、カウンターで食事を楽しむという。

「宮﨑さんたちは、うちの社長である兄と大学時代くらいからのお友達だと思います。今でも皆さん仲良くされていて、店に来てくださっています。炭火の焼き場をメインにした劇場型の店にしたかったので、焼き場が見えるカウンターにしています。宮﨑さんたちのように、4、5人でもカウンターを選ばれる方は多いですね」と、店主の堀部拓己さん。

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「『迦陵』はコースですが、ここでは一品が楽しめます。私もワインを飲みながら、好きなものを好きなだけ頼んでいます」(宮﨑さん)

「大人の居酒屋」を目指しているというここでは、鮮魚や肉を使った炭火焼を中心に、鱧や松茸などを使った季節の料理、八寸、造り、油物、煮物、酒肴、ご飯もの、デザートと、豊富なアラカルトを揃え、注文に迷うという人には、店が数品を選んだおまかせ料理も用意している。

「今、コースは品数が多くてしんどいし、自分の好きな一品をちょっとずつ食べたいというご年配の方が結構いらっしゃって。うちはそういう年配のご夫婦や観光の方、あと接待や会社関係の方がよく来られますね」と、堀部さん。女性のお一人様も多いそうだ。

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多くのお客が注文するのが、2種類の炉を使った自慢の炭火焼料理。のどぐろ、笹かれい、きんきなど、市場や城崎・津居山の魚屋から仕入れる季節の魚介は、自家製の一夜干しでも楽しめる。写真は香住産のノドグロを厨房で干している様子。半日かけて旨味だけを残すように水分を抜いていく。ある程度水分が抜ければ、その場で焼いてもらうことも可能だ。

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宮﨑さんのおすすめは、一品料理の店では珍しい八寸。女性を中心にお客の大半が頼む人気の品だ。

「大きな器にいろいろなものが盛られていて、飾り付けもとてもきれい」(宮﨑さん)。

内容は月替わりで8~9品。この日は栗渋皮煮、銀杏、鱒スモークなどで、鱒をスモークしている状態で供するなど、趣向を凝らしているのも特徴だ。

「炭火焼と同様、見て楽しんでいただきたいので、色使いや季節のものなど見た目を意識して作っています」と、料理長の上白木裕也さん。11月は柿なます、子持ち鮎の甘露煮、鯖寿司などが登場予定。

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「鴨ロースなど肉料理もおいしい。どの料理もおいしそうに盛り付けられていて、京都らしさを感じてもらえると思います」(宮﨑さん)

人気の「鴨ロース山椒煮」。表面をさっと焼き、低温でしっとりと仕上げる。柔らかな鴨肉は臭みがなくまろやかな味わいで、山椒の風味もほどよく利いている。ご飯にもお酒にもよく合う一品だ。

ここではご飯もの麺類も充実。特にあんかけの「たぬきごはん」は人気が高いそうだ。

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唎酒師とANSA認定ソムリエの資格を持つ堀部さんから、料理に合う日本酒やワインを提案してもらえる。ひやおろしなどの日本酒や日本産ワインなど、堀部さんセレクトのお酒が揃う。日本酒は半合から注文できる。

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「私はお店やホテルの内装の仕事もするのですが、ここは空間全体で京都を感じてもらえるのがいいなと。また厨房の様子がよく見えるようにカウンターを造っておられるのもいいですね。お店と近い感じがしますし、安心できます」という宮﨑さんの言葉に、「そうですね。頼んだ料理が作られている様子を見ながら、出来上がりを待つ時間も楽しんでいただけたら」と堀部さん。調理の様子を前に、お客同士やスタッフとお客との会話も弾んでいるという。

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最後に、堀部さんにもてなしに対する思いを伺った。

「うちの会社の理念は、来ていただいた方の時間をより良いものにするということ。お客様には料理だけでなく、スタッフ、空間、すべてに満足していただき、より良い時間を提供していきたい。いろいろな方がいらっしゃる中で、それぞれの楽しみ方をしていただけたらうれしいですね」

予算は飲んで食べて1万1000円~1万3000円ほど。気取らず、それでいてカジュアルになりすぎない和の雰囲気の中、旬の"おいしいもん"を酒や会話と共に楽しむ。まさに「大人の居酒屋」の醍醐味だろう。

撮影 エディ・オオムラ  文 山本真由美

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■有恒

京都市中京区二条寺町西入丁子屋町694-3
075-212-7587
営業時間 17時~22時(入店)
定休日 月、月1回火
http://aritsune.jp/