BLOG京の会長&社長めし2020.02.17

株式会社鼓月の社長が通う店「チェンチ」

京都にある会社の会長&社長は、どんな店でどんな料理を食べているのでしょうか? 彼らが通う一見さんお断りの超高級店から大衆店までご紹介する【京の会長&社長めし】。今回は(株)鼓月社長の中西英貴さんが通うイタリア料理店「チェンチ」です。

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■中西英貴(なかにし ひでたか)さん 

京菓子處鼓月 代表取締役社長
1971年京都生まれ。94年に明治大学商学部卒業。
97年京菓子處鼓月に入社。2005年4代目社長就任。
「どのようなお菓子がお客様に共感され喜んでいただけるのか」を常に心掛け、代表銘菓「華」や「千寿せんべい」の伝統を守りつつも、洋菓子工房「KINEEL」、スポーツ羊羹「anpower」などを発案し、多角展開している。
趣味はトライアスロンとスキー。
食事のお店選びは、京都でご縁をいただいた方やご紹介など、繋がりを大切に、がモットー。
最後の晩餐は、ワインと焼き鳥、デザートにホールケーキ丸ごと。

季節の素材の味が際立つ美しい皿に選り抜きのワイン。非日常的な空間で楽しい時間を

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平安神宮や美術館などが集まる文化エリア、岡崎。丸太町通から桜馬場通を南へ少し入った閑静な場所に、中西さんお薦めの「チェンチ」がある。オーナーは名イタリアン「イル・ギオットーネ」で9年半料理長を務めた坂本健シェフで、2014年のオープン以来、全国にファンを増やし続けている。

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中西さんは街中から離れた場所にある店が好きで、ここには3年ほど前から通っているそうだ。

「実は妻の実家が岡崎でよく前の道を通るので、オープン前から気になっていたんです。親しい夫婦4組で不定期の食事会をしているのですが、そのときに初めて行かせてもらいました。まず建物の雰囲気で気分が高まりますね。料理は旬の素材を使っていろんなものを作ってくれて、行くたびに違うものを味わえるのが楽しい。イタリアンのお店もよく行きますけど、その中でもチェンチさんはもう一回行きたいなと思えるお店です」(中西さん)

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「岡崎は中心部との距離感がよく、周囲の空気感も変わらないことから選びました。場所柄、昼のお客様はほぼ女性ですが、夜は社長さんや京大病院の先生など男性のお客様も多いですね。中西社長は京都の社長さん方と一緒に来られて、他の会でも何人かで来られていたと思います」(坂本さん)

坂本さんは、開業準備期間に全国の生産者を巡り、地元の人と交流する中で食の持つパワーを再認識。店のコンセプトが固まったという。

「初対面でも食卓を囲めば皆、楽しく元気になれることをすごく感じて、おいしい料理とワイン、気持ちのいいサービス、いい空間があり、常にいい空気が流れているレストランを作りたいと思ったんです。器や食材なども人としていいなと思う方のものを集めました」(坂本さん)

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店舗は古い日本家屋を1年近くかけて改装。中に足を踏み入れると、蹴上の"ねじりまんぽ"を模して造られたレンガのトンネル、半地下と中二階のテーブル席、個室、カウンター、坪庭などで構成された空間が現れる。無垢材や石、鉄を巧みに取り入れた内装やインテリアは、温かみと落ち着きがあり、どこかヨーロッパの町にいるような風情だ。

「中二階になっているところはちょうどいい席数があって、オープンキッチンも見えるので、そこで家族会や夫婦の食事会などをよくします」(中西さん)

「天井を高くして贅沢な気分で食事をしてもらおうと、半地下にしました」と、坂本さん。スタッフと共に内装にも携わったそうで、自分たちで地面を掘り、使用するレンガも掘った土と信楽の粘土を混ぜたものを焼いて製作したという。

「知り合いを連れて行くと、まず扉を開けて入ったところからわーっとなって、お店の雰囲気に取り込まれる。それでこちらもお店の蘊蓄を喋れますので」と話す中西さんのように、場を楽しくする話題作りにもなっている。

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「料理はどれもおいしく、安心感があります」(中西さん)

メニューはコースのみで、2カ月に一度変わる。生産者とやりとりしながら環境負荷の少ない旬の素材を仕入れ、その持ち味を最大限に生かした優しい味わいの料理を提供している。

写真はコースの一例より、フランス産ビルゴー鴨。ゴボウのピューレ、黒ニンニクと昆布だしで炊いたゴボウ、西洋梨、山葡萄を発酵させたソース、バルサミコを加えた肉のソース。複雑な味の重なりの中に、やわらかな鴨やゴボウなど、素材のおいしさを堪能できる一皿。

「あまり詰め込みすぎず、あとでお客様が『今日のあれおいしかったな』と振り返ることができるような料理を心がけています」と坂本さん。

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フグとフグの白子と九条ネギのパスタ。フグの骨でとっただしに炭火焼の白子を合わせたクリーミーなソースが、太めの麺に絡む、冬ならではの贅沢な一品。コクのある味わいに香り豊かな自家製柚子胡椒が味を引き締める。

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中西さんは、丁寧な料理説明も気に入っている点だと話す。

「例えば、〇〇産の生ハムです、というだけでなく、どういう思いで今日この生ハムを選んだのかというところまで教えてもらえるので、より料理に入り込んでいけます」

これについて坂本さんは、こう説明する。

「とりあえず試食会などはしっかりやっています。サービススタッフにも新しい料理を全部フルポーションで食べてもらい、意見を聞いたり、ワインペアリングやティーペアリングを決めたり。自分が食べておいしかったという印象から出る言葉で料理を説明するのが一番なので、そこは大事にしています」

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ワインはイタリアを中心としたヨーロッパや国産の上質の自然派ワインを多く揃える。

マネージャーの文屋隆志さんが手にしているのは、山梨の「ボー・ペーサージュ」のワイン。

「かしこまりすぎず、お客様に楽しんで帰っていただくことを心がけています。皆で食材やワインの生産者の訪問もよくしているので、そうした方々の思いも伝えていけたら」と、文屋さん。

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「京都の人に愛されるお店でありたい」と話す坂本さん。この5年の間に自身の料理も変化してきたという。「これまでの料理に、生まれ育った京都の食文化の影響や、海外でインプットしたものなどを融合させてコースを組み立てています。自分たちが今やっているものを、お客様と一緒に共有して楽しめるお店になれば」と話す。

コースは昼6000円、夜11000円(各税サ別)。予算はワインを軽く飲んで20000円ほど。楽しい雰囲気に満ちた空間と進化していく料理のもてなしに、また多くの人が魅了されるはずだ。

撮影 エディ・オオムラ  文 山本真由美

■チェンチ

京都市左京区聖護院円頓美町44-7
075-708-5307
営業時間 12時~15時、18時~23時
定休日 月、月2回不定休(日または火)
http://cenci-kyoto.com/

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