BLOG京の会長&社長めし2021.04.15

有限会社月ヶ瀬の社長が通う店「よこ林」

京都にある会社の会長&社長は、どんな店でどんな料理を食べているのでしょうか? 彼らが通う一見さんお断りの超高級店から大衆店までご紹介する【京の会長&社長めし】。今回は有限会社月ヶ瀬 社長の平栗由貴さんが通う割烹「よこ林」です。

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■平栗 由貴(ひらぐり ゆき)さん 

1975年 京都生まれ。早稲田大学第二文学部卒業
在学中 タイ国立タマサート大学へ交換留学
現地にて タイ旭電機株式会社、タイ国三井物産株式会社入社
2005年 有限会社月ヶ瀬入社
2015年 4代目として代表取締役就任

四条河原町にて昭和元年創業の甘味処。京都で初めてあんみつをお出しし、以来「あんみつの『月ヶ瀬』」と親しまれている。
現在は、京都市内に祇園店、堺町店、高島屋店の3店舗。
https://tsukigase.jp

最後の晩餐は、お母様お手製のちりめん山椒をかけたおじゃこご飯と生麩の揚げ出し。

四季折々の味覚と大将との会話をご馳走に、祇園の風情を感じながら過ごす路地裏の割烹

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京都の街中にはいたるところに小路や路地があり、そこで魅力的な店に出合うことも少なくない。賑やかな四条通から大和大路通を南へ進んだ一筋目。つい見過ごしそうな細い路地の中に今回紹介する「よこ林」がある。旬の食材を好みの調理法で食べさせてくれる昔ながらの割烹。1988年に創業し、芸舞妓や地元の旦那衆などに親しまれている。平栗さんは、高校生の頃から家族ぐるみでこの店を利用しているという。
「会長である父が昔からなじみで、家族の祝いごとや姉たちが帰省した時など、節目の時に皆で利用する大事なお店です。大将がとても気さくな方で、気軽に行ける雰囲気のお店でありながら、しっかりとした割烹のお料理を味わえます。他府県の方に京都のお店を紹介してと言われたら、いつもこちらをお薦めしています」(平栗さん)

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店は一軒家の一階部分に、掘りごたつのカウンター6席(通常7席)と小上がり8席のこぢんまりとした造り。坪庭や壁に飾られた舞妓の絵などが京都らしい風情を醸し出している。
「もう30年くらいになるかな。平栗さんのお父さんが紹介で来店されて、それからのお付き合いです。よく家族でお見えになっていました」
そう話す店主の横林勉さんは、神奈川県川崎市出身。中学の頃から何か手に職をつけたいと考えていた横林さんは、高校3年の時、東京の寿司店に勤めていた先輩から京都の割烹を紹介され、料理の道へ。この店を開くまで、京都の和食店や料理旅館などで腕を磨いてきたという。

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メニューはおまかせコースと多彩な一品があり、品書きにないその時々のお薦めも登場する。平栗さんは、いつもお決まりの品々に季節のものをプラスして楽しむそうだ。
「ぐじの塩焼き、ゆば万十、鱧の焼霜など、これぞ京都のお料理というものが味わえます。今時の華やかなものではないけれど、季節感があって、素材の味がシンプルに出ていておいしいです。今は子供が小さいこともありなかなか行けませんが、以前は季節のものが食べたくなると、『そろそろ筍の季節やし』という感じで行っていました」(平栗さん)

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魚や野菜などの食材は主に錦市場へ赴き、吟味して調達する。例えば鱧はできる限り韓国産を用い、横林さんが京都で一番好きな食材という筍は、根元をかじって味や食感を確かめながら選ぶという。
「いい材料を用意してシンプルに出すのが一番いいと、私は思っているんです。素材を生かして素直に召し上がってもらう。いいものを持ってきたら、お塩だけで十分おいしいんですよ」と、横林さん。
丁寧な仕事で素材の持ち味を引き出した料理には、かぶら蒸しやなす田楽、あら煮、丸鍋などのおなじみの味に加え、お薦めの鮑の唐揚げや銀杏の醤油炒りなど他店では見られないメニューもあり、好評だ。平栗さんたち常連には締めに食べるうにいくらご飯も人気だという。

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平栗さんがいつも欠かさず頼むという大好物の「ゆば万十」1100円(税込)。百合根ときくらげを湯葉で包んで油で揚げ、熱湯で油抜きしたあと、だしと醤油、砂糖で炊いていく。
「あんかけのお料理で、やさしいお味が気に入っています。おだしがやっぱりおいしい。タイに住んでいた時、よくこの味を思い出していました」(平栗さん)
なめらかな口当たりの百合根の甘味をだしの風味が包み込む、ほっとする一品。

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素材のうま味をシンプルに味わう店のお薦めの一つ「笹カレイの唐揚げ」1980円(税込)は、ポン酢と塩を添えて。身の部分はふっくらとして、骨せんべいは香ばしく、しみじみとおいしい。カレイは中骨を包丁で叩いて厚みを均一にし、ムラなく揚がるようにしている。いい素材をよりおいしくするためにこうした一手間は欠かせない。

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「お酒は日本酒、焼酎、ワイン、ビールなど一通りありますが、種類は置かず、お客さんが飲みたいと言われたものをご用意したりします」と、横林さん。「お酒で儲ける気はないので」と、どれも驚くほどリーズナブルに楽しめるのがうれしい。
写真は福知山の酒蔵が造ったオリジナルの冷酒「よこ林」。純米吟醸で飲みやすく、人気だ。

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四季折々の心尽くしの料理と、話好きの横林さんや共に切り盛りする奥さんが作る和やかな雰囲気に、安心して食事のひと時を過ごせるのだろう。ここでは平栗さんのように家族連れの常連も少なくないという。

ちなみに、平栗さんは独身の頃、両親と今のご主人の4人で訪れたことがあったそうだ。
「まだ結婚を迷っていた時だったんですが、そこで『結婚しとけばいいやんか』と言われ、じゃあ結婚しますとなって(笑)。それで父と一緒に大将が万歳三唱してくれました」
この時のことは横林さんも記憶に残っていると話す。
「万歳三唱したことまでは覚えていませんが(笑)、いい彼氏さんができたなあと思って見ていましたね」
平栗さんが「うちの家族全員よくわかってもらっている」と話すように、長年の信頼関係が窺えるエピソード。ここでの食事の記憶は、そうした家族の思い出ともリンクしているのだ。

予算はおまかせが10000円~、一品とお酒で12000円程度。これからは、筍料理、ホタルイカ、白魚の唐揚げといった春のメニューも楽しみだ。

撮影 エディ・オオムラ  文 山本真由美

■よこ林

京都市東山区大和大路四条下ル一筋目西入ル
075-541-2462
営業時間 17時~22時 ※要予約
定休日 日曜

食知新