BLOG京の会長&社長めし2021.12.21

株式会社藤井大丸の社長が通う店「ぎをん 森幸」

京都にある会社の会長&社長は、どんな店でどんな料理を食べているのでしょうか? 彼らが通う一見さんお断りの超高級店から大衆店までご紹介する【京の会長&社長めし】。今回は(株)藤井大丸 社長の藤井健志さんが通う「ぎをん 森幸」です。

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■藤井 健志(ふじい けんじ)さん

株式会社藤井大丸 代表取締役社長
1978年京都生まれ。同志社大学経済学部卒業後、ソフトバンク(現ソフトバンクグループ)、あずさ監査法人を経て、2009年藤井大丸入社。2018年より現職。
藤井大丸は1870年呉服商として創業。1935年に百貨店化。京都でより新しい価値の提案をファッション中心に行っている。

店選びの基準は美味しくて居心地がいいこと。
最後の晩餐はココ壱番屋のビーフカツカレー(チーズ、きのこ、オムエッグをトッピング)。

風情あるロケーションも魅力。子供からお年寄りまで、幅広い世代に愛される京中華

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三条通から知恩院前へ、白川沿いに続く白川筋。しだれ柳の並木が風情ある静かなこの道に、古川町橋という石造りの橋がかかっている。比叡山・千日回峰行の行者がここを渡ることから、阿闍梨橋、行者橋とも呼ばれている。藤井さんお薦めの「ぎをん 森幸」は、その橋のたもと近くにある。
いわゆる京中華と呼ばれる京都ならではの中華が人気の広東料理店で、親子3代で通うファンも。現在は2代目の森田恭規さんが腕を振るっている。

藤井さんは、10年ほど前から年に数回は訪れているそうだ。
「ちょうど社業に帰ってきたぐらいの時、友人に連れられて行ったのが最初です。いろんな会食の席や友人との食事の席で行くことが多いですね。比較的リーズナブルだし、京都らしいあっさり中華で何を食べても美味しい。箱も大きすぎず、場所的にも使いやすい環境にあるので、『今日は中華にしようか』という時によく行かせていただいています」

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森幸の創業は昭和30年。森田さんの父である先代が四条堀川で始めたのだが、そのいきさつがユニークだ。
「先代は、前は染屋やったんですが、中華料理を初めて食べて、これやと思ったみたいです」
そう話すのは、取材に対応してくださった森田さんの妻の直子さん。京中華を広めたのは中国人の高華吉という料理人で、森幸の先代はその高氏に弟子入りして腕を磨き、独立。4階建ての、宴会料理を専門にする店だったという。
今の場所に移ったのは平成11年。前の店ではメニューをホテル仕様の料理にしたこともあったそうだが、創業以来の味に原点回帰しようと、場所を変えて再スタートしたという。

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明るい雰囲気の店内は3つの座敷とテーブル席の全37席。クラシックやジャズなど、森田さんセレクトの曲が、BGMとして流れている。ここには地元客を中心に幅広い世代が訪れ、常連には企業経営者も少なくない。藤井さんもいろいろな知り合いが通っていることをあとで知ったそうだ。
「このへんには父方の親戚が結構住んでいて、父のいとこも昔から行っていたようです」と、藤井さん。
「京都は狭い」と言われるように、京都では、偶然に出会った人も、たどっていくと自分の友人や知人につながっていた、ということがよくある。
「藤井社長のおじさんが私の母の同級生で、よく食べに来てくれはるんです。京都はそんなんばっかりです。ええーっ、この方と一緒に来てはるの?という感じで。藤井社長もとてもお顔が広くて、京都のいろいろな方と来られます。東京のお客さんも連れてきてくださったりして、すごくありがたいです」と、直子さん。

藤井さんにとってここは「肩ひじ張らずに美味しいものが食べたい時に、ちょうどいい店」。「町中華のような感覚」で通い、時には直子さんたちと他愛もない話をしたりしながら、仲間と食事を楽しんでいるという。

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多くの京中華の店がそうであるように、森幸の料理も、麻婆豆腐など一部を除きニンニクなどの香辛料は不使用。うま味調味料を使わず、鶏の頭だけを使ってだしをとるなど、手間をかけて手作りされるメニューは、やさしい味わいの中にも深みがあり、後口が重くならないのが身上。また、森田さんは、先代の味を守りつつ、東京の名店を食べ歩くなどして新たな美味しさを追求しているという。

「味付けがやさしい感じでくどくなく、食べやすい料理が多いので、おばあちゃんからお孫さんぐらいの世代まで受け入れられると思います」(藤井さん)

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メニューは皮から手作りする一番人気の春巻き、砂ずりの天ぷら、酢豚、かに玉、チャーハンなどの定番に、里芋のふかひれスープ、よだれ鶏といった今月のお薦めが加わる。杏仁豆腐など手作りデザートも好評だ。ほかにおまかせコースもある。
その時々で食べたいものをチョイスするという藤井さん。お薦めの「小えびの天ぷら」1100円は、小麦粉と片栗粉入りの衣がもっちりとして美味しい。
「海老好きでエビチリやエビマヨもよく頼むのですが、これはあっさりした味付けで、おつまみに最適です」(藤井さん)

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こちらもよく頼むという「肉だんごの甘酢」1100円。揚げた肉団子とキュウリのシンプルな一品。ふっくらとした肉団子に程よい甘さの甘酢あんが絡み、いくつでも食べられる。

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種類も豊富な紹興酒。人気の甕仕込み「古越龍山」の5年物が飲みやすいとお薦め。

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料理と共に森幸の特徴といえるのが、店内の壁の絵。青蓮院門跡の襖絵など多くの作品を手掛ける壁画絵師、キーヤンこと木村英輝氏が、大胆な筆致と色遣いで孔雀と芙蓉の花を描いたもの。ちなみに、木村氏は直子さんの親戚だそうだ。
「元気があってパンチのある絵なので、店の雰囲気をいい意味で盛り上げている気がします」(藤井さん)

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「キーヤンさんの絵とやさしい味わいの料理というギャップが面白く、食べ終わって外に出たらガラッと空気が変わり、ああ、こんな静かな落ち着いたエリアだったんだと、また現実に戻る。そのアンバランスな感じもいいところなのかなと思います」(藤井さん)

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京都の飲食店もコロナ禍の影響を大きく受けたが、そんな時期も多くの常連客に支えてもらったと、直子さんは話す。それも長年、誠実な味づくりとお客とのつながりを大切にしてきたからにほかならない。
藤井さんが飲食店に求めるのは、「美味しさだけでなく、料理への思い入れやお客さんとのつながりを大事にして、いい関係性を結べること」だという。森幸もそんな理想に適った店といえるのだろう。

予算は昼1100円~、夜3000~5000円。

撮影 エディ・オオムラ  文 山本真由美

■ぎをん 森幸

京都市東山区白川筋知恩院橋上る西側556
075-531-8000
営業時間 11時30分~14時(LO13時30分)、17時~21時30分(LO21時)
定休日 水曜

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