BLOG割烹知新〜奇想の一皿〜2019.05.29

木山「らびおり」

京都を代表する和食の料理人に、和食の範疇を飛び出した奇想天外な一皿を作っていただく【割烹知新】。今回は、「木山」木山義朗さんの「らびおり」をご紹介します。

奇想の一皿「らびおり」

桜鱒、石鯛を編みこみ、鯛の白子を包んだお造り

木山義朗さんは「京都 和久傳」で料理長を務めたのち、2017年に「木山」をオープン。敷地に湧き出す井戸の水と、丁寧にひかれた出汁が生みだすドラマ性のあるコースを日々つくり上げています。

発想秘話

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今回の料理の発想には、モダン・スパニッシュの影響が大きくあります。ですが、そのきっかけをお話しする前に、まずはこの「らびおり」がどのようなものかをご説明いたしましょう。

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撮影がありました4月下旬は、桜鱒、石鯛がまさに旬。鯛は繁殖期ですので、上質な白子も手に入ります。今回は青森の桜鱒、伊勢湾の石鯛、和歌山の鯛の白子を用意しました。

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桜鱒と石鯛を薄い短冊に、白子は小さなブロック型のお造りにします。厚みや大きさを試行錯誤して、この形にたどり着きました。

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桜鱒と石鯛を編みこんでゆきます。モダン・スパニッシュではズッキーニやパプリカなどの野菜を編みこむことが多いようです。

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白子をその中に包みます。

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編みあがれば完成です。自家製のとろみ醤油をつかったポン酢おろしで、ひと口で召し上がってください。おろしや醤油の量も微調整を繰り返しました。中から白子がふわっととろけだし、ソースのように桜鱒と石鯛にからみ、一体感のある旨みを感じていただけると思います。旬のものを一緒に口にしたときに、ケンカすることなくそれぞれが引き立てあう、そんな「新しいお造り」です。

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私とモダン・スパニッシュの関係は、4~5年ほど前に出会ったデヴィッド・ヴィーヴ・プイグさんとのご縁から始まりました。デヴィッドさんは、スペイン・カタルーニャ州のレストラン「アル・サリェー・ダ・カン・ロカ」が、2015年の「世界のベストレストラン50」で1位になった時に、厨房に立っていた人物です。

2016年からは毎年2月に3日間だけ「ごだん 宮ざわ」で日本の食材をメインに、和食器を用いてモダン・スパニッシュを披露。2018年には「木山」でも同じように腕を振るってくれました。

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デヴィッドさんに出会うまでは、モダン・スパニッシュは泡や液体窒素を用いる科学的な料理法である、分子ガストロノミーのイメージが強かったんです。でも、それだけではないんですよね。肉も魚も野菜も、素材がとてもよくて、そのものの味を大切にしているんです。スペインで食べたヒラメには驚きました! 焼いてオリーブオイルをかけただけなのに、脂ののっている最高のクエに匹敵するほどの旨みが引き立っていたんです。

また出汁の文化もあり、キノコやイベリコ豚、鶏などからじっくりと出汁をとって料理に使っています。

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和食との共通点を随所に感じ、以来、デヴィッドさんを通じてモダン・スパニッシュから学ぶことがたくさんあります。今回の「らびおり」も、切ってお出しするだけのお造りの一歩先を行きたい、「新しいお造りの形を」という想いからつくりました。お造りに限らず、今後はそういう展開もしていきたいと思っています。素材を編みこむスタイルは、季節によって素材を変えてお出ししていくつもりです。

撮影 津久井珠美  文 竹中式子

■木山

京都市中京区堺町通竹屋町下ル西側絹屋町136 ヴェルドール御所1F
075-256-4460
12:00~15:00 (最終入店13:30)、18:00~22:00 (最終入店19:30)
不定休

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