BLOG料理人がオフに通う店2019.10.18

「卯今(うこん)」―「リストランテ野呂」野呂和美さんが通う店

「旨い店は料理人に聞け!」京都を代表する料理人がオフの日に通う店、心から薦めたいと思う店を紹介する【料理人がオフに通う店】。今回は「リストランテ野呂」のオーナーシェフ、野呂和美さんが通う居酒屋「卯今(うこん)」です。

「リストランテ野呂」野呂和美さん

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《プロフィール》
青森県出身。東京「山の上ホテル」や「リストランテ・サバティーニ青山」に勤めたのち、「ロカンダ・ヴェッキア・パヴィア」をはじめ、イタリア各地のレストランで修業。帰国後、ホテルグランヴィア京都のレストラン「ラ・リサータ」でシェフとして活躍。その後「洋食おがた」勤務を経て、20176月に「リストランテ野呂」をオープンさせた。

旬の素材を駆使した豊富なメニューが、料理人から家族連れまで皆を笑顔に

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堀川御池交差点から数分の場所にある居酒屋「卯今」。ここは、野呂さんが「兄貴的な存在」として慕う料理人、小林健一さんが営むお店だ。地鶏料理や海鮮料理をはじめとする多彩な料理で楽しませる。

「お店としてトータルで素晴らしくて心地がいい。料理人の常連も多いと思います」(野呂さん)

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店は6席のカウンターに、テーブルと小さな座敷のある落ち着いた雰囲気。淡海地鶏や近江軍鶏を使った炭火焼き、旬の天然の鮮魚を使った料理をメインに、創作料理、麺類まで、バラエティに富んだメニューが並ぶ。特に海鮮はイワガキや鮑、毛がにといった高級な素材も登場する。

「食材への造詣も深く、すごくいいものを揃えて手をかけて作られている。一品料理屋と言っていいぐらい、ちゃんとしたお料理を出されます。お造りからフライものまで献立の種類も多いですし、一つひとつの味にメリハリがあって、おいしいですね」(野呂さん)

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「自分が好きなもの、食べたいものを出している」という店主の小林さん。京都にある居酒屋の本店や支店などで12年間勤務したのち、2010年に独立。自分の店を開くにあたり、春巻きなどの居酒屋メニューから高級食材を使ったものまで、何でも扱う居酒屋にしたかったと話す。「自分の行きたい店というのがコンセプト。店を始めたとき、うちの子はまだ小さかったんですが、子供も行けるクォリティの高い店があまりなかったんです。それで子供も大人もおいしいものを食べられる、居心地のいい店を目指しました」。実際、ここには孫を連れた夫婦など、家族連れも多数訪れる。

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野呂さんとこの店とのそもそもの出合いは、「点邑」の小林料理長から紹介されたのがきっかけだったという。

「前からお店のことは知っていましたが、行ったのは点邑の小林さんに誘ってもらったのが最初でした。今は仕事終わりなど、週に12回は通っています」(野呂さん)

小林さんも、「点邑の小林さんとはオープンの頃からのおつきあいなんですが、1年ほど前に来られたときに『リストランテ野呂ってお店知ってる?今から来るし』って言われて。僕も野呂さんのお店に食べに行って、すごくおいしいお店だなと思っていたので、うれしかったですね」と振り返る。このときに二人は意気投合。以来、互いの店を行き来したり、一緒に食べ歩きに行ったりするようになったそうだ。

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「料理の味も小林さんの性格と同じで屈託がない」と話す野呂さん。一番のおすすめは、淡海地鶏のミンチを使った「季節の春巻き」。鶏ガラスープで炒めた具を、自家製の皮で包んで揚げた人気の品。地鶏の旨味がしっかり伝わる。写真は夏野菜を入れたもので、秋はレンコンやきのこに変わるという。

「地鶏と季節の具材が入っていて、創意工夫が凝らされていて本当においしい。皮がふわっとした感じなのも面白いです。揚げ方、具の味付けなど勉強になりますね。ビールにも焼酎にも合います」(野呂さん)

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野呂さんが「あれば必ず食べる」という「迷い鰹のたたき」。鰹は黒潮に乗って太平洋側を北上するが、群れの一部が対馬海峡を渡り、日本海に迷い込んでしまうことがあるそうで、「迷い鰹」と呼ばれている。

「脂の質がほかと違っていて、あっさりと食べられます。希少なので、入荷したときは魚屋さんに確保してもらうようにしています」(小林さん)

軽く炙ったあと、炭火の香りをつけたたたきを、鬼おろし、玉ねぎなどと一緒にポン酢で味わう。口の中に脂がふわりと広がり、トロを食べたような口当たり。料理人がこぞって頼むというのも納得だ。小林さんはこの鰹にかけるすだちや鬼おろしの量を背と腹によって変えるそうだが、素材に対する細やかな気配りが窺える。

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茄子の海老ジュレがけなど6種から選べる日替わりの付け出しも好評で、「これに合わせてお酒を頼まれる方は多いですね」(小林さん)

日本酒はいろいろな飲み口のものを常備するほか、季節のおすすめを「きまぐれ日本酒」として出しているという。

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野呂さんは、「料理の楽しみ方の提案や提供の仕方が多岐にわたっているので、本当にいろんな層の人たちが来ていて、皆さん満足して笑顔で帰られる。スタッフも元気がいいし、愛される店づくりをされていると感じます。僕もあそこでは楽しく酒が飲めて、元気にさせていただけますね」と、この店の魅力を語る。

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もともと食べることが好きだという小林さん。いろいろな店の味を研究したり、常連の有名料理人たちから情報を得たりと、味への向上に余念がない。「一つの料理を一層よくしようという気構えでやられていると思います」との野呂さんの言葉に、「やっぱり店は成長していかなくてはいけないので。お客さんを裏切りたくないし、努力はしているつもりです。料理の話を彼としたら、止まらないですね(笑)。彼には勉強させてもらうことがいっぱいあります」と、小林さん。リスペクトし合う仲間との切磋琢磨が、また更に魅力ある店にしていくに違いない。

撮影 エディオオムラ  文 山本真由美

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■卯今

京都市中京区姉小路通西堀川西入 樽屋町474
075-777-8134
17時30分~翌1時(LO24時)
休 木、月1回水不定休

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