BLOG料理人がオフに通う店2020.03.18

「Vena」―「青柳」青柳旭紘さんが通う店

「旨い店は料理人に聞け!」京都を代表する料理人がオフの日に通う店、心から薦めたいと思う店を紹介する【料理人がオフに通う店】。今回は「青柳」の店主、青柳旭紘さんが通う「Vena(ヴェーナ)」です。

「青柳」青柳旭紘さん

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《プロフィール》
京都市生まれ。23歳の時に調理師学校に入り、24歳から料理の世界へ。和洋の料理を経験する中で魚を扱う面白さ、奥深さを知る。30歳で独立し、魚料理専門店「青柳」をオープン。上質の素材を駆使した季節のコースで、魚介の魅力を余すところなく伝えている。今年で13年目を迎える。

年代物中心に充実のイタリアワインと旬の食材で織りなす独創的な皿のマリアージュを

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食材選びなどにポリシーがあり、独自性が感じられるような店に行くことが多いという青柳さん。今回お薦めに挙げるのは、御所南にある「Vena」。「イル・ギオットーネ」出身のシェフ・早川大樹さんと「ボッカ・デル・ヴィーノ」出身のソムリエ・池本洋司さんが共同経営するリストランテで、201612月のオープンながら2020年版ミシュランで星を獲得するなど、早くから高評価を受けている。

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町家を改装した店舗は、1階は庭を望むカウンター、2階は2つの個室で構成。池本さんが10年ほど前から集めていたという北欧の家具や、日本の作家の器など、上質なものが揃えられている。

青柳さんは、元々2人と面識があったという。

「早川さんはイル・ギオットーネの料理長をされている頃から魚の仕入先が同じで、話をするようになりました。池本さんも、ボッカ・デル・ヴィーノ時代にお店へ何度か行って「おいしいワインを出さはるな」と思っていたんです。その2人がやるお店はどんなんやろうと。僕の店にも来てくれていたし、できてすぐ行ったと思います。アンティークの椅子などもあって、すごく素敵なお店です」(青柳さん)

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「青柳さんは早川が知り合いで、彼を通して僕も青柳さんのことを知るようになりました。お互いの料理に刺激を受ける部分があるのでしょう。最初はアカの東さん、高台寺和久傳の松本さん、お魚屋さんと一緒に来てくださいました」

そう話す池本さんは、修業時代、互いの店で交流があったことから早川さんと親しくなり、一緒に店を持つことを考え始めたという。

「早川も将来的には独立を考えていましたが、ワインのことなど勉強し直さないといけない。僕も料理ができる人間を探さないといけないということで、お互いにないものを持っていた感じです。僕が力を入れてやりたかったのは、イタリアの熟成したワイン。ワイン本来のおいしさと、それに合わせたシェフのお料理を楽しんでいただこうというのが、コンセプトです」と、池本さんは経緯を語る。

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季節の味覚を盛り込んだメニューは昼6000円、夜13000円(各税サ別)のコースのみ。春は白アスパラ、筍、ホタルイカ、貝類などが登場予定だ。

「素材の組み合わせが独特で面白いし、調理方法など考えをもってやっておられるのを感じます。ジャンルは違いますが、すごく勉強になります」と、青柳さん。

その言葉に、

「ありがとうございます。青柳さんとは、朝市場で食材の使い方など世間話程度に聞き合ったりします。僕は市場でメニューを考えるので、自然と季節に応じた料理を作っていく感じです。季節の素材を使った自分の思う料理を、イタリア料理を媒介に表現しています」と、早川さん。

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青柳さんの楽しみの一つが手打ちパスタ。写真の菜の花と自家製からすみのスパゲッティは、京都の農家から届く菜の花をペーストのように柔らかく炊き、からすみの角切りと小粒のパスタを揚げたものを散らして。アサリと鶏のだし入りのオイルが麺に絡む。しっとりしたからすみのコク、菜の花の風味がよく合う春らしい一品だ。

「このパスタもだしが利いていて食感もよく、おいしかった。からすみも菜の花も麺も、一つひとつが考えられていると思います」(青柳さん)

早川さんが手打ちパスタにするのは理由があるという。

「手打ちだとソースも麺も自分で作るので、一つの料理にしやすいんです。コースの途中で出すので、太いパスタにはせず、食べやすくするためもちもちと程よい弾力になるようにしています」(早川さん)

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「うちは魚屋なので肉料理は新鮮。毎回違うお肉が出るので楽しみにしています」(青柳さん)

フランス・ラカン産の小鳩の炭火焼は、筍と原木椎茸のフキノトウと黒ニンニク和え、鳩の肝のソースと味わうシェフの自信作。鳩は丸ごと低温で火入れしたのち、骨から外して炭火で炙り、皮の脂を落として供する。身が詰まった鳩は、しっとりなめらかな食感で豊かな旨味がありおいしい。

「鳩は敬遠されがちですが、実はすごく食べやすいんですよ」と、早川さん。

肉料理は鳩のほか鴨、羊、牛などがよく使われるという。

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オールドビンテージの品揃えを誇るイタリアワインは、1960年代~80年代を中心に約12001300本をストック。

「オープン2年ほどの店でこれほどオールドビンテージがあるところはほぼないと思います」と、池本さん。ワインを目当てに遠方から訪れるお客も数多いという。

古いビンテージボトルを料理と味わうほか、料理に若いワインを合わせるペアリングも好評だ。

「いつもペアリングで楽しんでいます。池本さんが薦めるワインがおいしくて、早川さんの料理とマリアージュするから、更においしく感じます」(青柳さん)

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「居心地がよく、休みの日に妻と行く時はカウンターでゆっくりさせてもらっています。接客も自然で、ストレスなく過ごせるのがいいですね」と、青柳さん。

池本さんは、

「店の内装などから少し緊張される方もおられますが、あまり堅苦しくならないような接客を心がけています。一度入ってしまえば、くつろいでいただけると思います」と語る。

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「料理がおいしいのはもちろん、ワインもおいしいし、接客も雰囲気もいい。ミシュランをとられた理由がわかります。予約が取りにくくなるのは困りますが、応援しています」(青柳さん)

23万、昼は1万円前後で楽しめる。

撮影 エディ・オオムラ  文 山本真由美

■Vena

京都市中京区室町通夷川上る鏡屋町46-3
075-255-8757
12時~13時(入店)、17時30分~21時(入店) 要予約
休 水 ※木・金は夜のみ営業
https://www.facebook.com/venakyoto/

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