BLOG料理人がオフに通う店2020.07.28

「PIZZERIA DA NAGHINO ピッツェリア ダ・ナギーノ」-「Osteria CONACINETTA」坪内拓さんが通う店

「旨い店は料理人に聞け!」京都を代表する料理人がオフの日に通う店、心から薦めたいと思う店を紹介する【料理人がオフに通う店】。今回は「Osteria CONACINETTA」オーナーシェフ坪内拓さんが通う「PIZZERIA DA NAGHINO ピッツェリア ダ・ナギーノ」をご紹介します。

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Osteria CONACINETTA」オーナーシェフ坪内拓さん

京都のイタリア料理「ボッカ・デルヴィーノ」で修業したのち、イタリアのプーリア州に渡り、マルティーナ・フランカという町の一軒のオステリアで腕を磨いた坪内さん。修業先は小さな家族経営の店で、店主の個性がよく打ち出されており、日本と同じく、旬を大切にしており、素朴でいて奥行きがある食文化に魅了されたという。自身の店では、プーリアの郷土色を大切にパスタやパン、タラッリなどの粉物をはじめ、生ハムやサラミ類もできる限り、手作りを守る。そこに京都の農家から直接買い入れる野菜などを用いて、自分自身の味として打ち出し、多くの人を魅了している。

三條実永さんが自身のピッツェリアをオープンしたのは20188月。東京で生まれ育った三條さんは、もともとグラフィックデザイナーを目指していた。研修のため、イタリアのデザイン会社で働くことになり、イタリアに渡ったのだが、不思議な縁でナポリのピッツェリアで働くことになったという。

「向こうのデザイン事務所での仕事が自分のやりたかったこととあまりに違うこともあって、どうしようか悩んでいるときに、たまたま日本人の知り合いがナポリのピッツェリアで働いていて、自分が帰国するので空きが出るから、働いてみないか?と声をかけてくれたんです。ナポリで食べたピッツァの美味しさに衝撃を受けたこともあって、そのまま流れに乗ったという感じでしょうか(笑)」(三條さん)

ナポリのピッツェリアでは、ピッツァイォーロという生地づくりから全体を統括する職人と、フォルナイヨという焼きを専門とする職人とに、作業の役割分担がはっきりしているそうだ。三條さんは、まず焼き方として修業を積み、最終的にはピッツァイォーロのサブの役目を勤めるまでになった。

「ナポリでピッツアづくりに携わるようになって、その面白さに完全に魅了されました。各店で生地の味わいもちがうし、具材の組み合わせにも個性があって、お客さんもそれぞれの店の味にファンがいるんです。ナポリの住民全体がピッツアを愛し、誇りを持っていて、さすがピッツアの伝統がある街だと思いました」(三條さん)

帰国後は、東京の「ピッツェリアGG」など、ナポリ風ピッツァの名店でさらに経験を積む。その後、シンガポールで4店舗のピッツェリアを展開する仕事を任され、人材育成なども手がけた。ピッツァの道一筋に数々の経験を積んで、ようやく自分の店を持つことになった。

なぜ京都に開店したのか?その名前からも想像しやすいのだが、実は三條さんは公家の出身。小さいころから京都によく来ていたそうだが、父祖の地であるここ京都で自分の店を始めたいという気持ちが強くなっていったという。

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三条京阪から歩いてすぐの場所にある、この看板とオリーブの鉢植えが目印。

「京都では、なかなか行きつけのピッツェリアがなかったのですが、こちらの店が開店してからは"あ、ここだ!"という感じで、その日から行きつけになりました(笑)」(坪内さん)

「自分の店を始めるにあたっては、出来る限りナポリの味を踏襲することを心がけました。とくにピッツァ生地については、ナポリでは水分が少なめでしっかりとして歯応えがある生地が好まれるんですが、日本人はもちっとした食感を好むので、水分量を調整して、9割ナポリ、1割日本人好みの食感を意識した生地にしています」(三條さん)

小麦粉、オリーブオイル、モッツァレラチーズ、トマト缶など8割以上の素材はすべてイタリアから取り寄せている。もちろんピッツァ窯もナポリの専門メーカーから船便で取り寄せた。

店名の「ダ ナギーノ」とは、ナギーノの店という意味。ナギーノとは、三条さんがナポリで呼ばれていた愛称で、そのNとナポリのNをあわせて、窯の中央には誇らしげに「N」の頭文字がついている。

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生地をサッと伸ばして、具材をのせ、あっという間にピッツァがかたちづくられる。

ピッツァは三條さんが前の日から用意しておいた生地を伸ばし、具材をのせ、窯入れする。熊本から取り寄せた楢の薪を使い、窯内の温度を550度近くまで上げる。薪を立て、炎を巧みに起こして、窯全体に熱が滞留するようにして、ピッツアを入れる。一度、取り出し、向きを変えて再度入れて、全体に焼きを入れていく。焼き時間はほぼ一分半、あっという間に焼き上がる。

しっかりとした生地は、ほんのりモチモチ感をあわせ持ち、小麦の甘味をしっかりと感じさせる。

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ご自慢のピッツァ窯でピッツァを焼き上げる。ナポリ、東京、シンガポールで長年、磨いてきた腕をふるう瞬間。

「イタリア料理やピッツアは、家族や友人とワイワイしながら食べるのが僕の理想です。現地の空気を感じさせるメニュー構成や、家族や子供連れでも気兼ねすることのない雰囲気も魅力です」(坪内さん)。

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チェックのクロスが、カジュアルでアットホーム、明るい雰囲気を醸し出す店内。

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人気のマルゲリータ1100円(価格は全て税別)。モッツアレラチーズはナポリのカゼルタから取り寄せている。

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ナポリ特有の青菜、フリアリエッリは菜の花に似た風味。フリアリエッリとローズマリーの香りを利かせたサルシッチャ(自家製ソーセージ)、モッツアレラをのせたサルシッチャ エ フリアリエッリ1550円。

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つまみにぴったりの料理も揃う。フリッタティーナ(グラタン入りコロッケ)2個入り480円(上)、写真下は、カラマーリ・フリッティ(スルメイカのフリット/下)850円。スターターとして何品かのフリット料理とイタリアンビールを頼んで、ピッツアの焼き上がりを待つという人も多い。

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イタリアのビールもおすすめ。アントニアーナ マーレキアーロ(左)、ナストロアズーロ(右)、共に750円。

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温かな色合いの店内の壁には、三條さんの修業時代の思い出の写真が並ぶ。

「今日は外食の日という時に、どこにする?と妻に相談すると必ずノミネートされる一軒です(笑)。料理はもちろんですが、程よい広さと温かなサービス、店の雰囲気もとても良くて...。三條さんとのご縁は、以前、ここにおられたスタッフの方がうちの店にきてくれたことがきっかけだったのですが、話をしていて、お二人の信頼関係を垣間見ることができて、そのうちに三條さんも来てくださるようになりました。イタリアの話や僕の知らないピッツアの世界の話、自営業同士の話など、話が盛り上がりました。とても温和で、こちらがリラックスできる三條さんの温かな人柄が、この店の心地よさに繋がっていると思います」(坪内さん)

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Nの頭文字が誇らしげピッツァ窯の前で微笑む三條さん。温和な人柄が伝わってくる。

「ナポリにおけるピッツェリアは、老若男女、いろいろな人が気軽に来て、食事を楽しむ場所。京都でもそういう場所をつくっていきたいと思っていますし、実際、いろいろな方が気軽に訪ねてきてくれています。ナポリから来られた方から日本でこんな懐かしい味に会えるとは!と喜んでもらうこともあります。今、日本人スタッフ二名に、イタリア人のピザ職人が加わって、このメンバーで、楽しくて美味しい食のひとときを作り上げていきたいと思っています」(三條さん)

撮影/竹中稔彦  取材・文/ 郡 麻江

■PIZZERIA DA NAGHINO ピッツェリア ダ・ナギーノ

京都市東山区七軒町20-2 サングリーン1F
075-744-6568
11:30~15:00、17:30~21:30(LO)(22:00 CL)
不定休

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