BLOG料理人がオフに通う店2020.09.02

「酒処てらやま」-「炭焼みはな」長手未華さんが通う店

「旨い店は料理人に聞け!」京都を代表する料理人がオフの日に通う店、心から薦めたいと思う店を紹介する【料理人がオフに通う店】。今回は「炭焼みはな」店主 長手未華さんが通う「酒処てらやま」をご紹介します。

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「炭焼みはな」店主 長手未華さん

昔から食べることが大好き。大学時代、飲食の仕事に興味を持ち、この世界に進む。イタリアンの「La Camartina」や、鶏料理の「侘家古暦堂」などで修業を積み、昨年、自身の店をオープン。本人も大好きという、焼き鳥とナチュラルワインを提供。関西では数店舗しか扱いのない、丹波・高坂鶏も使用。夫は、イタリアンの「Lapintaika」のオーナーシェフ、正彦さん。

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なんとも心地よさげな店内は、先斗町の店の空気感そのまま。カウンター席のほか、テーブル席、二階の座敷がある。

 先斗町に店がある頃から、予約がなかなか取れないという人気店だった「酒処てらやま」は、昨年、4月に現在の場所に移転。綾小路通から細い細い路地を入った奥に、以前と変わらぬ温かなくつろぎをもたらす空間が佇んでいる。

「女将の絵里佳さんは、以前、私が勤めていた店の後輩で、今でもとても仲良しです。彼女から寺山さんを紹介してもらったのですが、可愛い後輩の彼ということで見る目が厳しかったのかなと思いますが(笑)、当時、彼は私をちょっと怖がっていたかも...(笑)。今では夫婦同士仲良くなって、お店も行き来させてもらっていますが、寺山夫妻から学ぶこともとても多いです。お店は気軽に行ける雰囲気と使い勝手の良さが気に入って言います」(長手さん)

「長手さんは仕事仲間やご友人とよく来てくださいます。一軒目として食事とお酒を楽しまれたり、二軒目に軽く一杯飲みに来られたり。自分の店を始めるとき、まさしくそういう店でありたいと考えたので、こんなふうに使っていただけるのが一番嬉しいですね」(寺山さん)

 主人の寺山主一(しゅういち)さんは、長年、京都の料理屋や居酒屋で働き、最終的に「食堂おがわ」で修業して、2017年に、先斗町に自分の店をオープンした。

「『食堂おがわ』では、割烹店としての味をしっかり提供しつつ、店の主人もスタッフも揃いのTシャツにエプロンというカジュアルなスタイルに新鮮な驚きを覚えました。いつか自分もこんなふうに、料理がうまくて、いろいろなお酒を揃えていて、でも気取りがなく、カジュアルに楽しめる店をやりたいと思うようになったんです」

 "料理はシンプルに"が基本。しかしそれは単に素材の持ち味を活かすということだけでなく、吟味した素材に自身の感性と技を重ねて、ちょっとしたサプライズを加味した『てらやま』らしい味わいを打ち出したいと考えている。

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旬味旬菜を取り入れた一品料理とお酒をその日の気分で楽しむ。おすすめの一杯は自家製レモンチューハイ700円だ。自家製の国産レモンの砂糖漬けで作ったレモンチューハイは、爽やかでほんのり甘く、これからの季節にもぴったり。

「先斗町の時は、店が狭くて、席数も少なかったのですが、今は二階の座敷を入れると倍の席数になりました。スタッフも増やして、できるだけ多くのお客さんに楽しんでほしいと思っています」(寺山さん)

 新しい店になっても先斗町の頃の雰囲気を大切に守っている。L字の木のカウンター(以前はコの字型)の艶めいた深い茶色や壁の風合いなど「前と雰囲気は変わらんなあ」と常連さんが喜んでくれているという。

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二階の座敷席は2組まで利用できる。1グループで6〜7人になると貸切にしてくれるというのは嬉しい。

「いつも季節のお造りや定番の一品ものの中から、その時の気分で注文しています。女将の実家がある丹後から届く新鮮な魚介類があれば必ず注文します。友人と行くことが多いんですが、カウンター席に座って、BGMの昭和の歌謡曲を聴きながら、まったりと料理とお酒を楽しむのが好きです」(長手さん)

「うちのBGMの最新曲は松田聖子ちゃんくらいでしょうか(笑)」(寺山さん)。

 料理は基本、日替わりで提供する。造り、焼きもの、揚げもの、蒸しものなど、その日の仕入れで30〜40種ほどの一品料理に、〆のチャーハン、酒処カレーライス、にゅうめん、土鍋ご飯などが揃う。

 野菜は地元のものを中心に、魚介は丹後の魚屋さんから毎日直送されたイキのいいところを、様々な味わいで提供する。

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泉州の旬の水茄子とトマト、新玉ねぎをさっぱりとしたドレッシングで合わせた水茄子とトマトのサラダ600円。オリーブオイル、酢、醤油にエシャロット、ニンニクなどを隠し味にした女将特製ドレッシングと相性よし。

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良い鯖が手に入った時は必ず〆るという、ほぼ定番のきずし1000円。酢でよく〆た昔ながらの味わいだ。

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炭火で焼いたうなぎの白焼き。皮目はパリッと香ばしく、身はふんわりしっとりとした食感。広島・海人(あまびと)の藻塩を使っている。

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先斗町の頃からの名物の〆料理、和牛炭焼サンドイッチ2500円。旨味豊かな和牛のモモ肉を炭火で炙り、塩、コショウのほか、ケチャップ、ウスター、玉ねぎみじん切りを合わせたソースに辛子をピリっと効かせて。パンも炭火で炙るのでとても香ばしい。切り落とした耳スティックがまた味わい深い。

「僕が酒好きなので、この酒に合うのはどんな味かな?とか、この酒には是非この味を合わせてみたい!とか、どうしても、酒飲みの感性で作る料理というか(笑)、お酒に合う肴といった料理が中心になってしまうんですが、これからはもっといろいろなジャンルの味にも挑戦していきたいと思っています」(寺山さん)

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日本酒は丹後・伊根の「京の春」や寺山さんの出身地の広島の「ずいかん」、などを取揃えている。鹿児島の国産ウイスキー「MARS」はハイボールで飲むのが人気。

 縄のれんをくぐれば、そこは昭和の歌謡曲が流れる世界。とくれば、昭和生まれにはたまらない懐かしさがこみあげてくる。その中で進化していく新たな『てらやま』の味を、推薦者の長手さんのようにまったりと味わってはいかがだろうか。

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女将の絵里佳さんと息のあったもてなしが、しみじみと心地いい。

■酒処てらやま

京都市下京区綾小路足袋屋町317−11
075-708-7237
17:00~23:00(LO22:00)
木曜定休
※予約がベター

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