BLOG料理人がオフに通う店2021.02.19

「すし・一品料理 すし昌」-「Gori's Kitchen ゴリーズ キッチン」の足立充憲さんが通う店

「旨い店は料理人に聞け!」京都を代表する料理人がオフの日に通う店、心から薦めたいと思う店を紹介する【料理人がオフに通う店】。今回は「Gori’s Kitchen ゴリーズ キッチン」の足立充憲さんが通う「すし・一品料理 すし昌」をご紹介します。

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Gori's Kitchen ゴリーズ キッチン 足立充憲さん

大阪の「Ristorante e Pizzeria SANTA LUCIA」で4年半、修業して、その後、さらに腕を磨くために南イタリアに渡る。現地のトラットリアで働き、帰国後は、大阪の「asse(アッセ)」で5年、さらに腕を磨いた。地元の京都に戻るが、資金を稼ぐのと、他の世界もみておこうということで3年ほど不動産営業の仕事に就いたのち、2016年に自分の店をオープンさせた。窯で焼き上げるナポリピッツァを中心に、足立さん自身が食べたいものをオリジナル料理としてメニューに反映させて、ナポリピッツアの他、前菜、メイン、パスタ、デザートなど多彩な料理を提供している。気取らない店主の人柄そのもの、アットホームな雰囲気の店には、家族連れや仲間同士が集い、いつも賑やかな空気が流れている。

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「すし昌」の店舗は、観光客でいつも賑わう『みやこみち』の中ほどに位置する。

 モダンな店が立ち並ぶ『近鉄名店街みやこみち』は、もともと、昭和39年、新幹線開通と同時に京都駅八条口に近鉄名店街として開業した。現在は、東西約200メートルの間にみやげ店、飲食店、書店など約40店舗の店が立ち並び、京都の南玄関を代表する施設となっている。その中ほどにある「すし・一品料理 すし昌」は、美味い魚と寿司を食べさせる店として、地元京都人をはじめ、観光客や出張ビジネスマンなども数多く訪れる。

 主人の松本敏昌さんは香川県の出身。大阪で「専門学校に通っていた頃、寿司店でアルバイトをしたのをきっかけに飲食の世界に入った。その後、うなぎの店や喫茶店のマスターなどを歴任し、平成17年にこの店をオープンさせた。毎朝、中央市場に自ら出向いて、新鮮な魚介を吟味し、仕入れによって品書きを毎日変える。
「とにかく美味い魚を食べていただきたいです。うちのお客さんは大体、本日の造りや魚介系の一品料理をいくつか注文されて、締めに寿司、という感じで楽しんでおられます」と松本さん。
 Gori's Kitchenの足立さんとはたまたま知り合って、年齢は違うが気があったそうだ。
「面白い子でね。イタリアンの店で働いているのに、魚のことや捌き方を勉強したい言うて、頼んできたんですわ。なかなか真面目にちゃんとやってましたよ。一度、携帯に電話したら、眠そうな声で出て、今、イタリアやというからびっくりしました(笑)」。

「魚のことを教えてください!と松本さんに頼み込んで、ええよ!と言ってもらって。割に長い間、通わせてもらっていました。若いからこんなことできたんやと思いますけど(笑)、松本さんにはほんまにお世話になりました。でも魚を見る目と捌く技術を教えてもらったのは、僕にとってほんまに大きなことでした」と足立さん。
 現在は、互いの店を行き来して、変わらぬ交流を続けているという。

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店内は座敷、テーブル席、カウンター席がゆったりと配置されている。

 足立さんは、この店に来ると、いつも大体、おまかせにするそうだ。
「ここではとにかく何をお願いしても美味しいので、造りや焼き物、揚げ物など旬の魚をたっぷりと味わわせていただいています。こちらの好みもよく把握してもらっているので、味はもちろんですが、いつもちょうど良い量で、大満足して帰ります」
 初めて来店した人におすすめなのが、お造り、寿司、椀ものがセットになった桶御膳だ。一人前でこのボリュームがあり、「すし昌」ご自慢の魚介料理が一度に楽しめる。今日の造りは、サザエ、甘海老、マグロ、鯛、サーモン。これでお酒をゆっくり楽しんで、その後に、握り9カンを食せば、満腹になってしまうという、かなりのお値打ちだ。
 近州米を独自ブレンドしたすし飯は、しっかりとした味わいながら、甘さ控えめで、すっきりと爽やかな江戸前の味。魚との相性がよく、食べ飽きない。寿司や造りにつけて食べる醤油は、故郷、香川県は小豆島の、マルキン醤油の濃口とさしみ醤油を独自ブレンドしたもの。これもキリッとした味わいで魚介によく合う。

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人気「桶御膳」は、このボリュームで3700円(消費税込み)!すし飯がさっぱりとした江戸前なので、9カン、ペロリとお腹に収まってしまった。魚介の種類は当日の仕入れによって変わる。

 松本さんは、すし店を開業する前は、うなぎ店をしていたことから、うなぎ料理も定評がある。国産のうなぎをふっくらと焼き上げ、丸ごと一尾、贅沢にいただけるのが特上うな重だ。真っ白なごはんに、しんなりと重く、艶めくうなぎがどっしりと乗って、それだけで胃の腑が唸る。香ばしい最上の焼き具合、脂が程よく乗って、ほろっフワッととろけるようなうなぎの身、ごはんにタレとうなぎの旨味が染み込んで、これはもう、ただただ、うっとりとなってしまう味わいだ。古くからの常連さんで、注文するのはいつもこれ、という人もいるというのがうなずける。

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特上うな重4300円。椀物と香の物がついている。

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本日の新鮮魚介たち。本マグロ、ぐじ、あわび、はまぐり、つぶ貝、香住の柴山港の松葉蟹などの旬魚が、松本さんの手で美味しい料理に仕立てられていく。

 「うちは駅近で、地元の企業の方や観光客、外国の方などがよく来られますね。ワイワイしすぎず、大人の方が美味しい魚とお酒と寿司で、ゆっくりと食事を楽しんでいただける店です。これから春にかけて、美味い魚がたくさん出てきますので、ぜひ、御賞味ください」。
 今朝、仕入れてきたばかりの魚介を見せてもらうと、キラキラ輝いて、今がまさに食べ頃。駅を降りてすぐという便利な場所に、美味い魚を食べさせてくれる寛ぎの一軒があるとは...!美味しいもの好きには、何とも幸せなことである。

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主人の松本さんの笑顔に誘われて、こちらもほっこり温かな気持ちになってくる。

■すし・一品料理 すし昌

京都市下京区東塩小路釜殿町37-7 近鉄名店街みやこみち
075-661-6899
平日11:00~ 22:00(21:30 LO)
無休
予約がベター

撮影/竹中稔彦  取材・文/ 郡 麻江

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