BLOG京のほっこり菜時記2020.09.24

「えだまめ」

飲食店取材1万軒を超える京都在住のライターが、時々の「うまいもの」を歳時記的につづる【京のほっこり菜時記】。 今回は「ビールのおともといえばコレ」と名の挙がる、おつまみの定番、「えだまめ」をご紹介します。

「えだまめ」は完熟する前の大豆だということは、みなさんもご存知だろう。4000年前にはすでに中国で生産されていたと言われている。

日本でも縄文時代の遺跡にその存在が認められているというから、たいした歴史のある食材である。

400種類も品種があるうえ、ブランドものも多い。よく知られているのは山形の「だだちゃ豆」や新潟の「茶豆」。いずれも香ばしい風味で、口にすると止まらなくなる。

そして、京都でえだまめといえば「紫ずきん」。物語の主人公のような可愛い名前をもつこのえだまめは、京都・丹波の生まれ。れっきとした京野菜だ。

丹波黒大豆が完全に熟す前に収穫する。食べごろに色づいた薄皮が、頭巾のように豆にかぶさっていることからこの名がつけられた。

丹波地方は朝と夜で寒暖差が激しく、その気候があるからこそ、甘みのある豆ができる。収穫時期は9月半ばから10月末頃までと、わすか1カ月半ほど。このえだまめが店頭に並ぶのを待ちわびるファンもいる(もちろん私も!)。

普通の枝豆より大粒で食べ応えがあり、むちむちとして甘みもたっぷり。口に入れると独特の香ばしい風味とコクがある。一度食べるとクセになるのだ。

塩ゆでしてほくほくとした食感を愉しむのもいいし、豆ご飯にしたり、かき揚げにしたりと独特の味をさまざまな料理で楽しめる。

私は、ちょっと堅めの塩ゆでが好み。ゆでたてをざるにとって甘めの天然塩をかけ、ざるを振って全体に塩をなじませる。熱々のままで食べることが多いが、冷めてももちろん美味しい。スーパーで「紫ずきん」の名を見かけると、思わず手に取ってしまうくちなのだ。

とはいえ「紫ずきん」は一時期のものだから、年中食べられるわけではない。もちろん、初秋だけの味だからこそ、心待ちにするというのもあるのだが。

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 ビール好きの呑み助は「とりあえずビール」をやめられない。どんな時期でも、どんな店でも私はまず「瓶ビール」を注文してしまう。家で飲むときも同じで、料理の下拵えをする頃には、すでにビールの栓を開けている。

そして、とにかくすぐに何かをつまみたい。そんなときに重宝するのが冷凍のえだまめだ。かつては、茹ですぎた感があって「やっぱり冷凍はだめなのか」と思うこともあったが、最近はスーパーやコンビニで売っているものも、十分すぎるほど上質。ひょっとしたら自分で生を買って茹でるほうが、失敗が多いかもしれない。

 ちょっと自慢になってしまうが、うちの冷凍庫には黒豆のえだまめが入っている。「黒豆茶庵 北尾」が開発した冷凍「黒豆枝豆」だ。冷凍庫から出して自然解凍して食べるか、オーブンで軽く温めるかすればいいから、面倒は一切ない。黒豆独特の風味がしっかりしていて、ゆで加減も抜群。私がゆでるよりよほど美味しい。

会長の北尾さんは、この「黒豆枝豆」を完成させるには、長い月日をかけたと話しておられた。まずは、丹波の黒豆の種を台湾にもっていき、約6年かけて、丹波産と変わらないものを育てたそうだ。その後も、ゆで加減や冷凍技術にもこだわり、2018年、完成にこぎつけた。

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ビールはもちろんだが、ハイボールや焼酎にも合う。初秋といわず、いつでも美味しい「黒豆枝豆」が食べられるのは、ほんとうにありがたい。

 さまざまなものが進化する今、確実に食品も進化している。けれど「美味しさ」にかける情熱や手間暇は惜しむと味は半減する。そこだけは変えてはいけないものなのかもしれない。

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そういえば、先日、丸太町通の「くまのワインハウス」で食べた「フェンネルえだまめ」がなんとも美味しかった。ゆでたえだまめをオリーブオイルとフェンネルでさっとソテーしているのだろうか。フェンネルの爽やかな香りがえだまめの皮にまとわりついていて、口に入れるとすっと香りがぬける。

ワインとの相性を大切にしていることが感じられる。ほかにも人参サラダや和牛料理を注文して、たらふく食べた。

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店主の長谷川琢馬さんとは、彼が以前サービスを務めていた北大路のビストロでお会いしたことがあった。当時からものごし柔らかな方だと思っていたが、それは今も変わらない。いや、さらに柔らかに、そして親身になっておられる。この料理にはどんなワインが合うかなど、丁寧に説明してくれるから、ついワインも進む。

素材重視の料理はもちろんワインのラインナップもナチュラル重視で気持ちいい。するすると食べて、ゴクゴク飲んでも、すっきり感が続くのだ。

えだまめも、こんなお店で調理してもらえれば、きっと本望。「とりあえずのおつまみ」なんて言わせない、堂々の料理として登場する。

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■北尾商事株式会社 通信販売部

京都市下京区西七条南中野町47
0120-877-600
9時〜17時30分
休 土曜・日曜・祝
http://www.kitaoshoji.co.jp/

■くまのワインハウス

京都市左京区東丸太町41-7 丸太町東大小路西入ル
075-285-1001
18時~24時
休 水曜

食知新

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