BLOGうつわ知新2021.04.02

現代陶芸3

季節ではなく備前や織部、古染付といった焼物ごとにうつわをご紹介。京都・新門前にて古美術商を営む、梶古美術7代目当主の梶高明さんに解説いただきます。 さらに、京都の著名料理人にそれぞれの器に添う料理を誂えていただき、料理はもちろん器との相性やデザインなどについてお話しいただきます。

今回のテーマは「現代陶芸」です。
第1回では現代陶芸の魅力について、2回目には今回使用したものをふくめ、代表的な現代陶芸について解説いただきます。

そして、3回目は、京都を代表するイタリアン・イルギオットーネの笹島保弘シェフとのコラボレーションです。笹島シェフがうつわを選び、渾身の料理を盛りつけます。

知っているようで知らなかった「現代陶芸の世界」をお楽しみください。

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梶高明

梶古美術7代目当主。京都・新門前にて古美術商を営む。1998年から朝日カルチャーセンターでの骨董講座の講師を担当し、人気を博す。現在、社団法人茶道裏千家淡交会講師、特定非営利活動法人日本料理アカデミー正会員,京都料理芽生会賛助会員。平成24年から25年の二年間、あまから手帖巻頭で「ニッポンのうつわ手引き」執筆など。 全国の有名料理店と特別なうつわを使った茶会や食事会を数多く開催。

現代陶芸3

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この器は丹波焼の市野雅彦氏の作品です。
丹波焼は本来、釉薬を掛けずに自然な灰被りに身を委ね焼き上げる、所謂「焼き締め」が基本です。この作品は赤黒い焼き上がりの作品も多い中、際立って鮮やかで艶のあるオレンジ色に焼き上がった秀作だと思います。取り立てて奇抜な意匠を施したわけではありませんが、たっぷりとした大きさと存在感ある厚みだけで他を圧倒する力を持っているようです。
私はこの作品がこれ以上に見所を持っていたとしたら、料理より作品の主張が勝ってしまって、うつわとしての魅力を欠いたと思います。料理との調和を考えれば、作者の作為の止めどころが絶妙に良いのだと思います。仕事をやり過ぎないことも作者の力量だと評価しています。

現代陶芸2より

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子羊のローストとキャベツいろいろ

「うつわのことは、それほど詳しくないので、パッと見た時のインスピレーションでこのうつわを使わせていただくことにしました。
 
 イタリア料理は色の組み合わせを大切にする料理です。たとえば、このうつわをみたときに閃いたのは、茶色のジャケットに緑のネクタイを合わせるというファッション的な盛付けでした。オレンジがかった茶色の皿色には、緑のアクセントが似合うと思ったんです。

 仔羊のローストに、春に美味しくなるキャベツを添えた一皿。乾燥させて旨味を凝縮した緑のキャベツとプチヴェール、揚げた黒キャベツは、それぞれに味わいも食感も違います。春の苦味や清々しい香りを感じていただけます。

菊芋のピュレと仔羊のだしを煮詰めたソースが仔羊の味わいをふくらませてくれます。

春の味と彩をこのコラボから感じていただければうれしいですね。」

笹島シェフ

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これは藤平寧氏の作品です。家庭での一般的な使いやすさを考えれば、もっと小さなサイズのうつわが良いのかもしれません。しかし家庭で使われるうつわは、そのサイズの割に盛られている料理の量が多いと思います。料理も見せながらうつわの表情も見せるならば、料理のサイズはもっともっと小さくて良いと思います。
藤平氏は京都市立芸大名誉教授の藤平伸氏の血を受け継ぎ、うつわのフォルムも色もとても繊細で、どこか甘い感性を持っています。陶器では表現の難しい色や形への挑戦は、時には自己陶酔的と思えるほどで、いつも驚かされます。個性あふれる作品でありながら、その主張が他に強要するような圧もなく、料理との相性も難しくないのだと思います。

現代陶芸2より

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あわびと筍の一皿

「春が旬の海のものと山のものを盛り合わせた一皿です。和食店などで出される若竹がイタリアンになったらという発想で、筍に揚げたわかめを添えました。

 ニュアンスのある淡色のこの鉢を見たとき、ビビッドな色目の料理ではなく、自然の色を合わせたいと思いました。自然な海の色と山の色。春という季節を考え、あわびと筍にしようと決めました。

 あわびの肝に青のりを加えたソース、黄の芽とわかめの濃い緑のグラデーションが、うつわに馴染みます。

 中央のみに料理を盛らず、うつわの余白も使って、デザイン性のある盛付けを試みました。」

笹島シェフ

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笹島保弘

ローマへ渡伊後、京都「ラヴィータ」、「イル・パッパラルド」両店でシェフを務め、2002年に独立し、「イル・ギオットーネ」をオープン。東京丸の内店や大阪グランフロント店のほか、ワインやイタリア食材のショップ「オフィチーナ イル・ギオットーネ」も展開。テレビ、雑誌などメディアでも活躍している。

イル・ギオットーネ

関西イタリアンの名店として人気を誇るレストラン。笹島保弘シェフは、京都の素材を活かした京イタリアンの先駆者としても知られる存在。上賀茂の農家でとれた伝統の京野菜や鱧など、厳選した食材を巧みに融合させたイタリア料理は、これまでにない素材の組み合わせの妙を存分に楽しめる。

■イル・ギオットーネ京都本店

京都市東山区下河原町塔ノ前下ル八坂上町388-1
電話:075-532-2550
営業時間:12時~14時、17時~19時半(いずれもL.O.)
定休日:火曜、水曜

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